レリルール学園案内①
「ごほんっ、説明の続きだが…」
「あ、すみません」
「いや、君のおかげで助かった」
ロイザ学園長は少し照れくさそうに目線を逸らした。
ルシオラは抱擁で怒りが落ち着いたようで、リョクチャを一口飲んだ
「僕も冷静さをかいてすみませんでした」
「………いや」
消え入りそうな声が部屋の中に響いた。
ーーーー
「明日から1週間は、個別授業で学園の案内と……知ってるとは思うが、魔力の属性の説明と君達の適性属性を確認したい。この授業は私が行う」
「学園長自らですか?」
「他の教師達は授業で、ヒマなのは私ぐらいだ」
アウラの問いかけにロイザ学園長はリョクチャを飲みながらそう答えた。
ロイザ学園長は髪と瞳は赤紫色で容姿もルシオラと似ていないけど、飲んでる姿はとても似ていた。
「午後からはフィリアとフィリオが王都を案内する。
学園内でも魔法関係の材料は買えるが、それ以外の洋服や日用品は王都で買うことになるから地理は覚えていた方がいい」
((お、覚えられるかな))
アウラとルシオラは王都に着いて、道に迷ったことを思い出し不安でいっぱいだった。
「1週間後から、この中から自由に授業を選んで参加するように」
ロイザ学園長は1枚の用紙をアウラとルシオラに差し出した。
用紙の1番上には「選択科目」と書かれており、下にずらっと科目と説明が書かれていた。
((歴史に地理、魔法薬、占い、魔法実技、魔法道具…それから))
「説明は以上だ。今日は疲れただろうから、寮で休みなさい」
用紙を確認していたら、説明は全て終了したとロイザ学園長は切り上げたが。
「待って下さい。
“アルカヌム”の試験はいつですか?」
「………まだ未定だ」
「「え?」」
「通常なら“アルカヌム”が主催して試験を行うが、今回は“レリルール守護者”とレリルール王家が合同で試験を行う予定だ」
アウラとルシオラは石のように固まった。
「“レリルール守護者”は分かりますが、王家はどういうことですか?
“レリルール守護者”の問題は国王陛下も干渉出来ないはずでは?」
「通常ならそうだ。
ただ例外として“レリルール守護者”がひとつでも空位になった時だけ、特例で試験だけ干渉出来る。今回は陛下ではなく、4人の王子殿下が試験の監視役として参加するようだ」
「「そ、そう…なんです…ね」」
アウラとルシオラから渇いた声が出た。
「試験中は参加者及び一般の人や商人達、大勢の人々で賑わうため、セキュリティの調節もあり、早くて1ヶ月後ぐらいに開催される予定だ」
「「わ、分かり…ました」」
本当に渇いた声しか出ない。
(1ヶ月以上も寮生活で瞳の色隠せるかな)
アウラは青色のストールの上から自分の目元を触れた。
(ルシオラとルームメイトになれたほうがいいけど…)
「あの学園長。寮でルシオラと同じ部屋になれますか?」
「ゴフッ、ゲッホ。
……いや、すまない。寮は男女別で部屋が分かれてて、女子寮に男子は入れない、男子寮も同じく女子は入れないように入り口にまじないがかけてある」
「そうなんですね。分かりました」
アウラは犬が凹んだように返信をした。
(この子達、共同生活大丈夫か?
公衆の面前でラブいちゃしそうだが)
ずっとピッタリくっ付いて、手を繋ぎながら説明を聞いていたアウラとルシオラにロイザ学園長は不安で胸がいっぱいだった。