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『魔力の蝶々』の群れと…

「ルームメイトってどういうことですか⁇」

「……詳しいことは学園長が説明して下さるわ」

「案内する。ついて来て」


 フィリアとフィリオにそう(うなが)されて、アウラとルシオラは手を繋いだまま、2人のあとをついて行く。

 噴水広場から北へ、道案内してくれた王族の少年が去って行った、カラフルな建物の王宮へ進んで行く。


(このまま王宮へ行きそうだけど…)


 貴族達が暮らす豪華な屋敷が並ぶ住宅街を通り過ぎて、横一直線に綺麗に整えられた森林を歩いているとアウラは自分とルシオラ、全員が探られてる不思議な感覚に襲われた。


「「なに?この感覚?」」

「2人とも気付いたの!」

「!」


 フィリアとフィリオが瞳を大きく見開いて驚く。


「フィリアさん、どういうことですか?」

「この森林は学園と王宮関係者、許可がある人以外は通れないようにまじないがかかっているの」


「それ以外の人が通るとどうなるんですか?」

「先ほどまで歩いていた貴族街側の森林の入り口に転送されて、兵士が駆けつける仕組みになっているの」


「君達が感じたのは、まじないの一部の魔力感知だよ。僕達歩行者を識別してる。

 普通は魔力感知されてても気づかないけど……、占いやまじないの家系の僕達や強力な魔力を持つ人、あとレリルール王家の人は魔力感知に気付くよ」


「「そ、そうなんだ(ね)」」


 フィリオの説明の『レリルール王家』にアウラとルシオラが冷や汗をかいて、フィリアとフィリオから目線をずらす。


 森林を通り過ぎると目の前に赤、青、緑、橙、黒、白、黄、水色の蝶々が目の前に広がる。


「「『魔力の蝶々(マナ•パピリオー)』の群れ」」

「『ヘルバの森』にも生息してるから、初めてじゃないでしょ?」

「いるけど…『ヘルバの泉』に水の『魔力の蝶々(マナ•パピリオー)』しかいないよ…、こんな全属性が密集してるのは初めて見た!」


『ヘルバの泉』は『ヘルバの森』の奥地にある水の妖精王が治め水の精霊が産まれる聖域の泉で、希少な薬の材料がある場所。


「赤が炎、青が水、緑が風、橙が大地、黒が闇、白が光、黄が雷、水色が氷の魔力を宿しているんだよね?」

「ええそうよ。この土地は魔法の源の自然の力が密集しているからこそ、全属性の『魔力の蝶々(マナ•パピリオー)』が見えるらしいの」


 ずっとルシオラの後ろに隠れるようにつていて来たアウラもこの絶景に目を奪われて、自ら進んでフィリアに話しかける。


「書物でこの子達を潰すと魔法が使えるって書かれていたけど、本当なの?」

「……本当だけど、潰した同時に爆発するように発動するから危険だよ」


 アウラの子供っぽい質問に素っ気なくフィリオは答えた。そんなフィリオをフィリアは珍しいものでも見たかのように見つめる。


「……夜になると『魔力の蛍(マナ•ルシオラ)』も見える」

「『魔力の蛍(マナ•ルシオラ)』も?」

「とても綺麗だよ」


 ルシオラは珍しくはしゃいでいるアウラとフィリオの姿を見て2人の間に入る。


「早く学園長のところへ行こう」

「え、うん。そうだね。……ルシ怒ってる?」

「………怒ってないよ」

「本当?」

「本当」


 アウラはルシオラが怒っている時、機嫌が悪いと感じた時、悲しんでいる時に無意識で『ルシ』と幼い頃の呼び方をする癖がある。その癖を知ってるルシオラは頭を抱えて。


(はぁ〜、僕って嫉妬深かったんだな)



 ーーーー



魔力の蝶々(マナ•パピリオー)』の群れを抜けると、緑が多い茂広大な敷地に色とりどりに輝くクリスタルの城が奥にはレリルール王都でも見たカラフルな王宮が建っていた。


「ここがレリルール学園」


 クリスタルの城の中に入り、迷路のような廊下を進み、大きい扉の前に着いた。

 フィリアはコンコンとノックをする。


「どうぞ」

「失礼します。ロイザ学園長、ルシオラ•アニムスとアウラ•アニムスをお連れしました」


 扉を開けたフィリアが部屋の中に執務机に座っている中年の男性に告げる。


「私は学園長のロイザ•ディアトロ、君達の祖母と同じ“レリルール守護者”のひとり”マギーア“の”称号“を持っている」


(”マギーア“って⁉︎)


 アウラはルシオラとロイザ学園長を交互に見る。



 ーーーー



 応接セットのテーブルにリョクチャが3つ置かれて、アウラとルシオラが座るソファの向かい側にロイザ学園長が座った。ここまで案内したフィリアとフィリオは教室へ戻った。


「さっそく本題に入ろうか、君達は『()()()()()』へ()()()()()()


(帰れないって、どういうこと⁉︎)


 アウラは混乱でルシオラの手を握り、アウラの混乱を感じたルシオラはアウラを安心させるため、握り返す。


「……それは”()()()()()“の()()が亡くなったからですか?」

「そうだ『ヘルバの森』はアニムス家ではなく、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 現在(いま)”アルカヌム“が空位である以上、次期(つぎ)が決まるまで誰も『ヘルバの森』への入れない」


「待ってください!もし私達以外の人が”アルカヌム“になったら、その人が『ヘルバの森』を継承するってことですか?」

「そうだ」

「そんなっ!」

「アウラ落ち着いて」


「もう一度『ヘルバの森』に帰るためには、僕達が次期“アルカヌム”試験で合格して“アルカヌム”の“称号”を継承するしか方法がないんですね?」

「そうだ。その間は『レリルール学園』の特待生として勉学に励み、学園寮で生活してもらう」


「『レリルール学園』に通うことは、もう決定事項ですか?」

「そうだ。()()()()()()()()()()()()()()()()

「貴方がそれを言いますか。分かりました。

 僕はともかくアウラを路頭に迷わせたくないので、学園へは通います」


「ルシ、落ち着いて」

「アウラ。ごめん」


 アウラは苛立つルシオラを落ち着かせるために、幼い頃からしていたように抱きしめた。



 “レリルール守護者”魔法に長けた“マギーア”ロイザ•ディアトロはお義母様の恋人で、ルシオラの()()だと師匠が亡くなる前に話してくれた。


面白かったら、嬉しいし、創作の励みになりますので、ブクマと評価をよろしくお願いします。

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