『奇跡の双子』と魔法生物
「な、なにアレ?」
「か、鴉?」
「デカくね」
ざわざわと生徒達が騒ぐ。
「カァ!カァ!カァ!」
「「クロロ帰れなくてごめん」」
アウラの頭の上に乗っかる巨大な鴉がバサバサと羽を広げる。
「カァー!カァー!カァカァ!」
「「木苺。ひゃ、100個…」」
「カァーーーーー⁉︎」
「「はい!摘んできます!」」
アウラとルシオラはただひたすらにクロロに頭を下げていた。
「その鴉。魔法生物ですか?」
アウラとルシオラが振り向くとカナリアが驚いた顔をして立っていた。
「「ま、魔法生物⁇」」
「僕が干渉出来ないので、魔法生物ですよね?」
「そうなの?」
「お婆様からは…なにも…聞いてない」
どうやらカナリアからの疑問に答えられる人はこの場にいないようだ。
「あの魔法生物って?」
「術者の魔法で生み出した生物です。
この魔法生物は食料を必要とせず、術者の魔力を糧に動きます」
「「えっ」」
クロロは木苺が大好物で昔からバクバク食べていたんだが、カナリアの説明を聞くと食事はいらないらしい。
「アウラかルシオラのどちらかが魔力の提供源だと思うんですが…」
「「ええ!」」
「師匠から何か聞いてる?」
「15年前から家にいるしか聞いてない」
カナリアの説明はふたりにとって寝耳に水らしく混乱してる。
「15年前ですか…、ふたりともこのあと何か授業はありますか?」
「「木苺100個摘んでくる」」
アウラとルシオラはクロロを見つめてそう答えた。
「………授業はないんですね。
僕もないので『双子の奇跡』のところへ行きませんか?」
「「『双子の奇跡』?」」
アウラとルシオラもどこかで聞いた気がするが、分からないのでカナリアに問い返す。
「フィリアさんとフィリオさんです」
ーーーー
チチッ、チチッと、カナリアの手元の小鳥が囀る。
「ここにフィリアさん達がいるようです」
アウラとルシオラはカナリアの小鳥に先導され「占い」の教室へやって来た。
「「「失礼します」」」
「カナリア様とアウラとルシオラ!」
「カナリア様が珍しいどうされましたか?」
アウラ達の姿を見てフィリアが驚き、フィリオが問いかける。
「フィリオさんに確認して欲しいことがあって」
カナリアがそう切り出して、クロロのことを説明する。
「この鴉が魔法生物ですか」
「ただ制作者の術者が不明で、それをフィリオさんに調べて欲しいんです」
「なるほど、そういうことですか」
フィリオは納得すると視線をアウラとルシオラ、クロロにうつして何かを探るように見つめる。
「産み出されたのは15年前で制作者は……既に亡くなっています。
魔力の提供源は…アウラですね。
魔力の流れがとても自然なので、恐らくアウラと制作者の魔力がとても似ているんでしょう」
「……そうですか。フィリオさん、ありがとうございます」
カナリアは予想通りなのか、納得したように呟いた後にフィリオにお礼を述べた。
「フィリオ、今のは?」
「僕は…ディアルナ家の双子の弟は魔力の流れを見通す目を持っているんです」
(千里眼でストールの下に隠れたアウラの顔も見えてるけど…、言わないでおこう)
アウラの問いにフィリオは自分の目元を指差してそう答える。
「この力で実技の対戦授業で相手が使う魔法の属性が分かって対策しやすいですよ。
炎は風に強く水に弱い。大地は水に強く風には弱いですから。
対戦相手からは嫌がれますけど…」
「そうなんだね。…フィリオが対戦授業がある実技の授業選んでるの意外だな」
「…それは、僕の目のように“特殊体質”の相手にも慣れておくように、教師とロイザ学園長から頼まれたんです」
「ロイザ学園長?」
「ディアルナ家はロイザ学園長のディアトロ家の分家ですから」
「カァ!カァ!カァ!カーッ!」
アウラとフィリオの話の途中で痺れをきらしたクロロが「早くしろ、木苺100個!」と叫んでる。
「クロロ待ってて、すぐ木苺100個摘んでくるから…」
「カーカー」
「き、木苺?100個はむりじゃないかしら」
ルシオラがクロロを宥めるが、フィリアがこの王都に木苺は少ないと説明する。
「苺なら王宮のハウスでも栽培してますか、用意しますか?」
カナリアの鶴の一声にアウラとルシオラはクロロを見つめる。
「カァ!」
「「苺でも大丈夫です。お願いできますか?」」
「大丈夫です。用意は……今すぐのがいいですね」
「「ありがとうございます」」
カナリアが引くくらいクロロの眼光が凄かった。
ーーーー
「カァカァ!」
クロロはご機嫌にカナリアが用意したヘタを取って、ふたつにカットしてある苺を次から次へと頬張る。
「「カナリア様。ありがとうございます。
助かりました」」
「いえ、お役に立てたのならよかったです」
カナリアはクロロを見つめる。
「…魔法生物が…苺を食べてる」
フィリアとフィリオも驚いてる。
(苺食べなくてもいいんだ)
アウラがそう思っていると「占い」教室のフィリアとフィリオが最初に座っていた机の上にある平べったい水盆に気付く。
「フィリアあの水盆は?」
「私達の占いの道具よ」
「「占い」」
アウラとルシオラの声が重なる。
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