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ありがとうと言いにいこう  作者: ツバサ
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親孝行するとき親はいない

あの日はよく晴れ、太陽が輝いた日だった。


優人は仕事もせず、そこらをほっつき歩きながら家路に着いた。


なにもやりたくない、やっているやつはムカつく、周りに悪態をつくことでしか自分を保てない優人は近所では昔から評判の悪ガキとして有名だった、



そんなこの世の悪を子供の頃作った泥だんごのように高密度に固めた男が家に着いた時、ある違和感を覚えた。


いつも鬱陶しいほど「おかえりなさい」を連呼する母親の声が全く聞こえてこないのだ。


どうせ返事はせず、毎日無視して二階へ上がるのだが


何もないというのは気味悪いので、優人は嫌々ながらも久方ぶりに「ただいま」と口にした。



しかし、それでも母親の声は帰ってこない。


「チッ、無視してんじゃねえぞあのババア」


吐き捨てた優人は勢いよくこの時間いつも夕飯を作る台所につながるドアを開いて、母親へ悪態をつこうとし、驚愕した。


母親は台所で大の字で仰向けになり。心臓を押さえて倒れていた。



その晩、あっけなく母親は死んだ。


死因は事故でも事件でもなかった。母親は末期の癌であったらしく、突然の心臓発作によるものだった。



何も伝えず、母親は死んで言ったのだ。




結婚して優人を産んだ後父は蒸発した


叔父や叔母は優人が3歳の時に事故で亡くなったと聞いていたので、彼は天涯孤独の身となった。



母親が死に、天涯孤独となった彼はこの時初めて、



後悔を知った。


そして、そんな想いを持った自分に嫌悪し、心の奥深く、誰も手が届かないような場所に閉じ込め封印した。




葬式の日は涙ひとつ見せず、むしろニヤついて見え、参列者達からは気味が悪いと後ろ指をさされていた。



そう、この時誰も彼の気持ちを汲んであげることができなかった。


そう誰も、、彼自身さえも、自分の気持ちをわからなかったのだ。



胸にぽっかりとあいた風に感じるほどの深い深い後悔を。



悪の塊と呼ばれたモンスターは、大学生になった。

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