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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
本編 異世界の章 大魔法大戦
845/2520

-786話 姫巫女降し 61-

「ちっす!」

 エリアスが表敬訪問してきた。

 とは言っても、村を開けてまだ3か月も経っていない。

 村にいると、ババさまや薬師のジイさんらが孫のようにかわいがってくれるので、めきめきと力をつけて、もはや(拾ってきたときのような)幼女のような見る影もないレディへと成長を果たしていた。

 とうとう、マルの身長もスパッと追い抜かし、どっちがお姉さんかという雰囲気である。

 目に見えない年齢の差だけが、マル唯一の拠り所となってしまった。



 これは、シヴァの反応も、姪っ子同様に目を点にして驚愕している。

「おっぱいまで大きくなりやがって、いや、この尻肉はなんだ?! もう、男を誘えるエロい体になりやがって...今度の休みは、男をあさりに行くぞ!!!」

 なんて、誘いをするありさまだ。

 そうでもしないと、自身の動揺を隠すすべを知らない。

 それに、今にも泣き崩れそうな姪っ子に助け舟を出さなければという、母性がそうさせた。

「お、伯母上...あれ、誰?!」

 マルの現実逃避が始まった。

「気を確かにもて」


「あわわ...師匠せんせい、私ですエリアスです」

 瞼をつむり、泡を吹きながらスライムに戻ると、マルはそのまま気絶した。

 彼女の自己防衛本能だった。



 翌朝。

 シャフルの高山地域に小さな山小屋を建てた。

 とは言っても、部屋数は多く2階建てである。

 下階に、コバルド族の戦士と山師が住み込み、上階にシヴァやマルの部屋がある。

 スライムに戻った、マルはベッドの上で仰向けに“大の字”で四肢を広げていた。

 掛布の麻布は別の誰かに取られ、朝の涼しい風で目が覚めた。


 夏もちかい山の風。

 標高が高いので、それは少し寒い――「むにゃ...」

 天井画見える。

 マルの視線はまっすぐ上にある。


――胸が窮屈だ。こう、抑えこまれているようないや、鷲掴みにされているような――にぎにぎ――そう、にぎにぎ揉まれている。

「ホワッツ!?」

 マルは、上半身の反動で飛び上がろうとすると、力まかせに両腕と頭で妨害を受け、再びベッドの真ん中に沈められた。妨害したのはかつて幼女で拾ったエリアスだ。

「ぷにぷにょなお腹、すべすべのお肌、さいこ~」

 おっさんかーっ!!!

 って、マルの叫びが部屋にとどろく。

 ベッド脇、床で寝たいたシヴァが顔をのぞかせる。

「私もふかふかなベッドで寝たかった」

 と、言い残すと彼女は再び、床に戻っていった。



「おっぱいは揉めば大きくなると、ババさまが言ってました!」

 頭頂部に強烈な拳骨を貰い、大きなこぶを生やした少女がある。

 その外見的年齢はもう、どこから見ても16~7歳の女の子だ。

 この子を差して、幼女だの童女だのというのはいないだろうが、ビッチというのはありそうだ。


 まず、マルに対する考えだ。

「小さい身体には需要があります!」


「ほう」

 拳骨が炸裂する。

 なんとなく気に障らなかった。

「はっはは、何も言ってないのにこの調教! ありがとうございます。で、ですね...こうくびれてない寸胴っぽい身体に、ばい~んって感じの()()()()があれば、どんな年齢でも必ず二度見するんもんだと、ジジさまに教わりました! 故に師匠せんせいのおっぱいは私にお任せください!」

 正座していたエリアスが天井高く飛んでいた。

 踏ん張ったマルのアッパー、打ち上げ花火張りに打ち込んだ結果だ。

「っしゃああああ!!」



 白目を剥いた少女の上にマルが勝ち誇ったように立っている。

 否、跨っているようだが。

「しかし、忠犬のこいつが何でこんなとこに?」

 シヴァの横頬には床の痕がある。

 枕も貰えなかった様子だ。

 肌着一枚で突き飛ばされ、床を涙で濡らしながら寝ていた。

「ババさまと、ジジさまが解き放ったということは」


「修行が一段落ついたか」

 聖属性魔法が得意という人間は少ない。

 治癒魔法は属性で言えば、信仰系と呼ばれる――原理は、新陳代謝を快活にして身体の自己治癒能力を高めるものである。例えば切り落とした腕が生え変わるのは、各部位の()()から本人の生命力を糧にして再現リバースさせているだけだ。

 これは、自己暗示に近いので使用者と、利用者の間で同じ信仰を共有していれば難なく行使できる。が、一応の反復練習が必要であった。


 では、エリアスの聖属性魔法とは何か。

 簡単に言うと、光にちかい奇跡の魔法だ。

 プログラム上ではバグ、あるいは隠し要素の()()()の属性と呼ばれている。

 設計者のマルでさえ知らない属性だった。

 が、これを行使できたものがかつて、ひとりだけ居たという記録がある。

 “竜を御する乙女”とよばれた、ドラゴンスレイヤーの聖女だ。


 凶暴かつ腐をまき散らし、世界に死を誘った“()()”と対峙し、無から光の御使いを創造したという力が、聖属性だと言われている。

 これらをマルは、規格外と呼ぶ。

「竜を御する...伝説は、1000年前だろ?」


「設計上は光属性だったはずだけど、渡るたびに起源が100年も伸びて、どんどんチートな話が追加されてる。伯母上は、いくつ渡りましたか?」

 反省中のエリアスは、部屋の角で空気イスの刑を受けている。

 たた流し目でみると彼女の顔が嬉しそう否、恍惚として吐く息が荒いというか、ご褒美のような。

「最初は1000年ってことは、今は?」


「1万年です。神代の核戦争はそれよりも、10万ちかく前になっています。また、地殻変動による地球の姿は、後付設定の段階でだいぶ大袈裟に誇張されているようで、もう、何があったかとか“さいしょの人々”というワードも謎過ぎて調べるすべもありません」

 この世界ではという意味だ。

 マルの渡りは11回。

 シヴァは4回だが、腰を落ち着けがちなので引きこもりに近い。

「アクティブなんだな?」

 感心している。

「いあ、居心地が悪かっただけです」

 再び、エリアスを見る。

 ぷるぷるする脹脛に笑う膝。

 頬を主に染めて、荒々しい息使いに嫌悪が走る。

「...」


「あ、ありがたき幸せ...」

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