表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
本編 ゲームの章 女王エリザベータの帰還
82/2508

-48話 勇者とその一行 ③-

 荷馬車に居た8名がタワーシールドを担いで勇者の下へ駆け寄った。

 中隊と同じように盾の陣を敷き、亀の甲羅のような形で勇者たちを守りに入る。

「そんなに戦力割いて大丈夫なのですか?」

 勇者に心配された傭兵たちは失笑している。

「なにか?」


「ちょっと、勇者アッシュさまが心配されて」

 耳長いエルフ娘の口を、分厚い皮手袋で遮った。

「先刻より、このパーティは大所帯じゃないですか。それぞれ個別なんて誰も考えちゃいませんよ」

 勇者の肩を叩きながら。

「じゃ、守りはこっちで引き受けますから、目の前の敵を蹴散らしましょう!」

 分隊長は、後方の中隊長から『4人だけでも、教会へ飛び込ませろ』と指示されていた。

 魔女と前衛のパーティを分けてしまった事は、計算違いだったが、クラスアップを4人が無事果たせれば勝利条件に到達すると前向きに考えた。いや、異性への耐性が無かった魔女かのじょが、隊長の背中に隠れてしまった方が誤算だ。

 これでクラスアップ条件が5人揃ってとなると――隊長の眉間に皺が寄る。

「あれ、隊長...険しい表情ですね?」

 魔法使いのひとりが訝し気に覗いてきた。

「顔がちかい! 彼女のことだ」

 背中に隠れている魔女を指している。

 褐色の肌、黒いストレート・ロングの奇麗な髪、色白のエルフ同様、横に突き出した耳長い特徴をもったダークエルフ。瞳の色は碧で、瞳は大きい、身体は妙齢な雰囲気を漂わせるものの言動で実齢より、幼さを感じさせる。

 会話すると、初心な十代という感じだろうか。

 中隊長の背後霊は、30をちょっと越した感じだ。

 クラン仲間からは、中身の餡子出てきちゃいますよって揶揄われるほど、素で生きているタイプ。

 魔女に勢いでキスしたことを実は、物凄く猛省している最中だった。

「心の声は漏れ出ないように」

 なんて、盾構えてる仲間に脇腹を突かれた。


「お前らなあ...」

 中隊長がくくっ...笑った。

「指示をお願いします! 斥候スカウトの奴らも準備できているようです」



 集団戦は、日々の訓練の量と質で勝敗が決する。

 その上、魂の咆哮みたいな非科学的な力が加味すると、“テルモピュライの戦い”のような数十万 vs 数百なんて戦いだって凌げる。まあ、死力を尽くして全滅なんて局地的な結果を考えだしたら、キリがないのだが。集団戦の醍醐味は、守って守って、守った上で削ぐ力を正面に集中させるという事だ。

 王国騎士団は、初手で横陣を敷いてきた。

 斥候スカウトの見立てでは、横2枚の縦列横陣だと分かっている。

 屋根上の弓兵を処理した後、中隊長は魔法使いらに前衛パーティ突破の火力支援を命じた。


「勇者殿の陣、紡錘へ変化!」

 斥候スカウトからの物見が逐次入る。

「っ、分隊長あいつも楽しんでるな」


「騎士団、横陣より左右に分裂! 囲い込む様子です」

 それは、読んでいた展開だ。

 紡錘で突破されれば、後方で守り固める2枚目の横陣で足止めを行う。突破された1枚目が後ろに回り込んで包囲すれば、方円の陣が完成する訳だが、それは早計だ。

 分隊と同じ戦力は、既に放っている。

 1枚目の彼らよりも早く傭兵団の遊撃部隊が背後を襲う。

「いや、存外...俺も楽しんでいるか」

 ひゅっ風を鳴く音色が聞こえた。

 中隊長の肩鎧が粉々に消し飛んでいる。

 軌道がそれたのは、彼を庇うために飛び出した魔法使いだ。

「た、たいちょう...よそ、見...しすぎ」

 彼の身体もまた、砕け散るクリスタルのように弾け飛ぶ。

 退場ベイルアウトでどっかの教会へ飛んだ。

「盾の陣! 魔女を守るんだ!!」

 彼は、自らも盾を持ってその陣の一部となった。

「どこから撃ってきやがった?!」


「こちらからでは...あっ」

 斥候スカウトの声が次々と消える。

「勇者殿、一行が教会に入りました!!」

 残るひとりが状況を伝え、消息を絶つ。

 遊撃隊も幾らか数を減らして、中隊長の下へ戻ってきた。

「隊長、狙撃手がいるようです」

 盾の陣の中に飛び込んできた彼の背中に矢が刺さっている。

「済みません、さ、先に...り、だつ...」

 と、遺すと彼も退場ベイルアウトしていった。

「あ...」


「心配されないでください。魔女殿あなたは私が必ず守り抜く!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ