表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
本編 異世界の章 大魔法大戦
702/2383

-643話 バルカシュ攻略戦 ⑬-

「ああ、そういえば変な声で鳴く、とてつもない硬いやつを斬った!!」

 (≧△≦)……こんな顔をして叫んでいる姉がある。

 刀工墨壺と名乗っている刀鍛冶に、古今東西の一振り大太刀を打たせた。

 まあ、彼女もタダで名刀を打たせたりはしない。

 払える代金が無かったわけではないが、刀匠が可愛らしい少女だったこともあって摘み食いである。

 蛇イチゴに、青柳で海と野山を堪能しきって、締めの菊花でずぶずぶだ。


 そんな贅沢な一振りを豪快に振り回していたら、刀は折れるわ山羊だか羊だかも、バッサリ二等分になって腐臭がひどいことになったアレである。

 肉片の始末は当然、ウルジの町の住民が行った。

 当然というのは、町の危急を救ったのがメグミさんであったからだ。


 文句も言わずに淡々と彼らは仕事を熟してくれた。

 が、その話をあまりしなかったのは、大太刀が真ん中からぽっきり、折れた事で沈んできたからだ。これから付与魔法や符よスキルの強化を行うはずだった。

 つまりは、試し切りがしたくて工房から持ち出すと、豪快に折ってしまった。

 刀匠の下には、折れた作品が返ってきたという顛末だ。


 所有者も泣ける話だが、作った本人も泣けた。

 墨壺は、1日半ほど泣き明かしたという。

 3日目になると煩いので、メグミさんの実技テクニックで大人しくさせた。

「ああ、それであの時(630話 ウルジのお祀り ②/32行目)遅れて来たんだね!!」

 と、ヨネが何かを察した訳だ。

「勘のいい子は嫌いじゃないけどね」

 長姉の目つきが少し怪しく光った気がする。

 ヨネはお尻を両手で覆うと、

「わ、私はノーマルの方で」


「何の話?」

 マルには鈍い時がある。

 アンテナは敏感だが、そこに意識を持っていかれると、判断力が極端に下がる傾向にあった。

 これは、クランの娯楽室でTVを見ていた時も、本人はベックに薦められたドラマ鑑賞に首ったけになって、下着姿でウロウロしていることに何の躊躇もなかった。

 上はロングTシャツを着て――。

 胸のロゴは“かりば~ん”と書かれてあるヨレヨレのシャツだった。

 他のクラン員から注意されて、ようやく自分の姿がモラルに反するものだと知ったという。

「マルちゃんも()()してみる?」

 これは中毒性がある。

 慣れる前は遺物挿入感が記憶を置き換えて侵食し、少し苦しく窮屈に感じるだろう。

 それに、菊花の周辺が傷つくと暫く疼きながら、座り難くなるというデメリットがあった。

「お姉さんの指使いがエロい」

 外野だ。

 柱に縛られた皇子が零した。

「男のアレには興味は無いけど...」

 尻の奥がきゅっと閉まるツボが押された気分になった。

「お、おい!!」

 腰を捻って、菊門を襲う手から振りほどくも、ヨネの眼には大きく膨らんだものが飛び込んできた。見たことが無いわけではない。

 治癒士だからこそ人体構造にも入念に学習した。

 キノコの形、種類、曲がり方も調べて一応には、学習したつもりでいる。

 ただ、標本では無い()()を見るのは初めてだった。


「こ、これが...ボッキ?!」

 ヨネの呟きに――皇子からは『違うよ、お嬢ちゃん、違うからねえ~お兄さんのチンコはその程度のもんじゃないよー...あ、えっとねえ...すっごく太くて、硬くて、凶器だから』と自薦する行為はどうなのかなと、マルは目を細めている。

「ところでさ」

 マルが話題を変えた。

 埒が明かないと思っただけじゃなく、興味を持ったヨネが耳まで赤くしながら『触ってもいいですか?』と言いかねない状況を脱したかったからだ。

 少なくとも、言い繕う言葉があるとすれば、コメ家の娘たちは研究熱心なのだ。

「ベヒモスまで帝国は、投入できるのかって問題だよね」

 今までは、帝国の立ち位置は侵略者だった。

 魔王軍が世界秩序と均衡を保つための調停機関として、“世界”から派遣された存在と言うのは、まだごく一部しか知らない事実である。

 思惑はそれぞれにあるとしても、対人兵器ベヒモスを操るのが帝国だとすると、彼らはすべての生物から忌避される存在へ駆け上がることになる。

 それが本意であろうと、なかろうとしてもだ。

「いや、私が斬った時は目の前を奔る帝国兵を追ってた。彼らが死に物狂いで“SOSたすけ”を叫んでいたから、私は彼らの為に踏み込んだんだよね」

 と、案外似合わないセリフを吐く。

 これがメグミさんクォリティという処だろう。


「それで刀折るんじゃ世話ないね」

 マル的には冗談だったが、メグミさんにとっては突くべき点では無かった。

 仕返しは、気を緩ませていたマルの菊門へ人差し指の挿入である。

 左の手で尻肉を掴みながら、第一関節が潜り込んでいた。

「うっ、きゅーっ!!!!!!」

 甲高い声で鳴き、今や“突貫”、“突貫”と叫んでいた兵士たちの顔が、ほんの一瞬、本陣に向けられた。()()()()()()()()()()()と、詳しく確かめる為のモノではないが、皆の時間が一寸だけ止まった感覚の共有だ。

 マルはお尻を抑えて悶絶し、皇子の足元に蹲っていた。

「妹にも容赦ないな?!」


「ええ、全く...姉としては、もう少し敬って欲しいだけですのに」

 と、刺した指先の匂いを、微笑みながら嗅いでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ