-22話 魔法学Ⅱ-
「魔術スキルを取得しても、総ての魔法が行使できる訳じゃない――意味は、分かりますか?」
「キャラクター・メイキング時に選択した、属性を主に行使できる道筋が解放されます」
指導官が、六つの属性を黒板に相関図ととも記していく。
火→風→土→水→火...と、一巡する。
光⇔闇は相互に関係しあい、前記した四つの元素との外に書かれてある。
「選択した属性は、“耐性と強化”について影響しあい、魔法や武器、攻撃と防御においても常に影響し続けます。また、自分の立場や立ち振る舞いにも選択肢のひとつとして係わっていくものなのです」
「火属性の冒険者が魔法として、火炎球を詠唱するとします。属性の補正ボーナスを受け、威力や命中などの精度が増すわけです。逆に水属性の方だと、打ち消し合う力が術者の方が高いので結果的には、火炎球は威力不十分に判定されるのです」
「自身の属性に左右されない、或いは影響を受けない属性は相関図の対角にある属性となります」
指導官のチョークが、四元素の上下・左右に線をひく。
風⇔水、火⇔土といった具合にだ。
「光属性と闇属性は、隠し要素“立場値”によって解放条件が異なり、概ね課金要素ですので現時点で気にする必要はありません。関係性までに質問はありますか?」
指導官が教室の隅々を見渡す。
魔法詠唱者見習いたちが瞳を輝かせている、そんな雰囲気はあった。
「次に、強化魔法と弱体魔法を解説します」
「属性による“強化と弱体”は、補助あるいは支援魔術スキルによって高める事が出来ます。火属性の方を“1”とします。属性強化の魔法が付与され、ざっと“1.5”になったとします。この時点ですべてに対して約1.5倍増しの強化ボーナスを“攻撃と耐性”に受けるのです」
指導官の会話を遮って腕が挙がった。
「はい」
「付与って重ねられるんですか?」
生徒は、恥ずかしそうに座り込んでしまった。
「勿論です。通常条件下では、2倍まで特殊条件下で最大4倍に強化する事が出来ます」
「条件下って?」
挙手ではない状態で、聞こえた質問だ。
ちょっとざわつきかけている。
「魔法には位階があります、或いはレベルとも言い換えられてますね。1~100まで無条件に鍛え上げることが可能で、それ以降は種族や解放クエストなどによって更に100まで成長させられます。魔法名は記しませんが、下位魔法、中位魔法までで熟練度が50あたりでしょうか。高位魔法、最上位魔法で100となり、ある特殊なフラグを得ない限りここで完ストになります」
「世界で到達者はまだ、全体のひと桁%だと言われています」
スキルのレベリングがマゾ仕様だからという理由が大きい。
また、魔術スキルだと指導官も重ね重ねで呼称しているが、習得する魔法名に熟練度という値があって、実際には総称として魔術スキルと呼ばれていただけだった。
そうなると、火炎球ひとつで最上位魔法級が存在するという事になる。
その通りだ。
威力は、召喚された彗星堕としに匹敵する。
広範囲系爆発型、延焼ダメージが90秒間で複数個体対象、総ダメージ2万弱。
火炎系の究極な姿だ。
ただし、味方も巻き込む自殺行為或いは、自爆型とも後に話題に上がる究極魔法のひとつになる。
「特殊な条件というのが、先にも言いましたが出自である種族ごとに、スキル上限解放クエストを受けるか、他に師を得て解放する方法に委ねられます。師を得るというのは単純な話では無く、後者は難しいですね。先ず、同系統の魔法を師が伸ばしていないと意味がありませんから」
「特殊条件下による4倍増しの“強化と弱体”については、今考える必要はないでしょう」
◆
「どうだった? はじめての指導官ってのは」
クランの副長でもある“先輩・指導官”こと、ルーカスが背中越しに話しかけてきた。
振り返るローブの指導官は、マルだ。
頬を朱に染めて感涙している。
「みんな、かわいいんだよー」
魔法の講義のあと、マルは実技でさまざまな裏技をみなに伝授したという。
治癒魔法詠唱者を目指す子たちとは、師弟関係まで結んでしまったようだ。
「師弟?」
「うん、弟子になる子たちにはボーナスとして1割~2割増しの熟練度獲得ボーナスが付くの!ナビゲータさんの受け入りだけど」
って、満面の笑みを浮かべる。
とても楽しそうな表情だ。ぷりっとした唇、ぷにっとした頬。
「?」
「ベック・パパに報告しなくちゃな」
「うん!」




