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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
本編 ゲームの章 若葉マークの冒険者
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-07話 はじめてのおつかい-

 クランに参加して1週間。

 ぼっち冒険者だったら先ず、体験しない仲間の有難味というのは何物にも代えがたい。

 クランに招かれた時にマルを歓迎したのは、彼らがクラン内で飼っているスライムたちだった。

 マルを見て敬礼する子や、足首にべったり張り付いて尻尾?を振る子、ぴょんぴょん跳ねる子もあった。どれも、飼い主には見せたことの無い表現で彼女を迎え入れたのだ。

 マルも、薄い青色のスライムを抱え上げると――

「うわっ! この子、ヒールをマスターしてるんだね!!」

 と、あっさり言い当ててしまった。

 飼い主たちはスライムを色の違いで名を付けたが、マルは見ただけで一匹、一匹の違いを見抜いていた。

「マルちゃんには違いが?」


「うん、分かるよー どーしてー?」

 十代後半の外見だが、中身はかなりお子様なのではと、思わせる間延びした口調。

 そわそわ落ち着かない行動力。

 そして先刻の問題児っぷり。

このこスライムは、実はアシッド・クラウドを習得したかったんだって!」

 なんて言葉でも分かるかのようにほほ笑んだ。



「最初の試練は、クランのRANK上げに協力してもらう!」

 クラン長の人虎ワータイガー・ベックがマルに告げた。

「RANK上げって?」

 一応、仲間たちはマルが転向コンバート組のひとりだと思っている。

 その為、この世界には不慣れという印象で彼女と接していた。

「えっとだなー 簡単に言えば、クランは検索しないでも各ギルドの掲示板に1000まで表記されるんだ。ここからお気に入りのクランに入会申請を出す事ができる。しかし、1000の名簿に載るには日頃の活動が活発で、きちんと冒険者プレイヤーとのコミュニケーションが取れているかに限られる」


「つまりは、その活動ってのが『納品会』というシステムで数値化されて、上位に君臨し続ける事が出来る」

 と、ベックが解説し終える。

 すると、すっと腕を伸ばし挙手するマル。

「はい」


「上位クランには何か特典があるの?」


「オフィシャルでは、クエストの受注数が増えたり、特別な嗜好アイテムや経験値獲得量が強化されたりする。更に10位以内や5位以内といったプラチナムな冠持ちになると、クラン専用アイテムなんかを贈られるという話だけど、定かではない」

 少しトーンが下がった。


「何で?」


「到達クラン側の情報封鎖が目立つからだな」

 ベックのトーンが下がったのはこの辺りの話らしい。

 後で、他の仲間からベックの1年前を聴いた――彼は、上位クランに参加していた。軍隊まがいの『自称・国境なき傭兵団』と名乗っていた。今や知る人ぞ知るという勇名・悪名を轟かせる巨大冒険者集団だが、サービス開始直後のクランは、純粋に攻略を目的としたものだった。

 さて、『国境なき傭兵団』はRANK上げにおいて禁忌である暖簾分けの1st、2nd、3rdのクランを協力させて、独占してしまった過去がある。

 これらの行為は、彼の信条の赦さないところだったので退会し、新たに『ザボンの騎士』を立ち上げたのだという。


 ま、この他にも陰湿な噂話はあるようだが、また先の話になるだろう。


 ベックは、依頼の記されたスクロールをマルに手渡す。

 内容は、鍛冶屋のお手伝いというものらしい。

「これは?」


「鉄鉱石を規定数用意し、鍛冶屋に納品する『納品クエスト』だ。鉄鉱石は、採掘で獲得してもいいし、露天バザーや店売りのを買ってでもOKだ。問題ない...できれば、高品質のハイクオリティという表記のアイテムを納品すると、クエスト完遂時に獲得できるポイントが高くなるので、出来れば狙ってほしいところだが、無理しないでいい」

 期待はしていないが、興味はあった。

 初心者支援プログラムの指導官に参加している友が『面白い人材を見つけた』と興奮した様は久しぶりに見たし、確かに飲み込みや発想は面白かった。この子が納品クエストを前にどんな方法で臨むのかに好奇の目を向けていた。

「んじゃ、お金とか必要?」


「ああ、そうだな。大口取引になるからクランの金庫番に頼むか、すればお金を融通してくれるだろう」

 金庫番は、緑色のスライムがぴょんぴょん飛んでいる傍にいた人狼ワーウルフの女性職員だ。


「ま、頑張ってみるね」



 この世界では、重量が重要視されている。

 大きくて頑丈な鎧を小さな人が着るには、無理がある道理というのが非常にリアル思考で働く。

 確かに小人専用のフルプレート・アーマーもあることにはあるけども、それでも使用者の筋力や体力面で条件をクリアできなければ無用の長物と化す。

 また、自重を軽くすることで俊敏性の付与ボーナスが、物理攻撃や回避に加算されるため重量アップを忌避する傾向にも繋がっていた。

 そこでこの世界での製鉄はふた通り確立されている。

 ひとつ目は、『磁鉄鉱』という砂鉄を採集して製鉄する“たたら製鉄”があり。

 ふたつ目は、『赤鉄鉱』という赤茶色の石を採掘して製鉄する“溶解高炉による製鉄”が普及している。

 前者は、純度の高い鉄成分を直接採集してしまうので、重量面のデメリットは受けないが、採集エリアが限られるため、金策目的の冒険者であふれ返っている。

 後者は、鉱石を鉱山内で採掘し、重量が嵩み易いデメリットを受ける。馬車などの移動手段が必要で結果的に手間と労力が金策には向かないとされているが、こちらは見習い鍛冶師が原材料を求めて籠る傾向にある。

 まあ、どっちもどっちといったところだろうか。


 マルは、商業区画の掲示板をじっと見つめている。

 鉱石商を探していた。

 相場あたり鉱石はどれも1個(銀貨)100枚あたりと教わっている。

 そして、掲示板の価格帯はそれを少し上回っているように思えた。

「何か探し物かい?」

 露店の主人が話しかけてきた。

 この如何にも怪しい獣人が見かけによらず人懐っこいよく、喋るひとだった。


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