- C 1349話 ヘブリティーズ会戦 4 -
王都に残ってる兵と言えば、禁軍の5千と。
双子姉弟の1千、皇太子護衛の1千、王都警備兵2千余り。
王国に隣接するスポンスハイム家の私兵は万を超えるし。
その国境警備は千にさえ満たない。
だって、身内なのだから。
が、
仇になるケースは、いくつかの歴史にある。
なぜ、現王家・バールトクロイッツ家だけが王の系譜なのか。
スポンスハイムとイクリンガスは王家に子を差し出す役目しかない。
まあ、これは『世界を灼いた魔女』の意思とは関係ない。
後世の者たちがそうあれと定めたので仕方ない。
王となるのはバールトクロイッツ家からの子だけだ。
両家は妻か夫の配偶者のみを差し出す。
常に外戚の立場だけが遺されるんだけど、イクリンガス家は地方王になってその意味を知った。
魔女の手解きを受けて、だ。
「長命種の根源が元鞘に戻る儀式です」
と。
マーガレットは、仮説を正しくし。
儀式魔法の解明に至った。
精霊石に踊らされてるから、完全に脱却したとは言い難く。
正直に打ち明けていないけども。
真実よりも今が大事だと。
「企ての概要はどういう事なのかしら?」
滑り落ちてた彼女に手を差し出した。
その手を取って伯爵令嬢は、座り直す。
「とくに女王はイクリンガス家が王都へ上がったトコまでは、各所の関所で知っているでしょう。そこで陛下が、挨拶に来ない事に気を揉みます。王家とこの家はスポンスハイムよりかは良好だと思ってるのでしょうから」
表立っての疎遠ではない。
先代の辺境公までは書簡などで細い糸で通じ合っていた。
代替わりした後は疎遠。
切り開いた土地の割譲までといったところか。
その辺りから書簡も届かなくなった。
ただし、新年のあいさつとする朝貢は行ってた。
「ああ、あれね。鬱陶しいし煩わしいのよ、行けば行ったで茶会しましょうと絡んでくるし。行かないと催促してくるでしょ?(代打として行ったのはマーガレットで、彼女が肩を落として頷いてた)朕の年齢を気遣ってか、男を紹介しましょうかって...余計なお世なの!! 朕はマーガレットが居れば十分なの!! 他の何かなんて必要ないわ」
深い絆ではないけども。
まあ、パートナーっぽい雰囲気はある。
共犯者という響きが心地よい。
「――っ、まあ。そういう監視の目のある中で、陛下の行動の先に姉弟殿下があれば。幾月か前の奇行が再浮上するでしょう。次の王は誰か... あの姉弟には今まで有力と言える家が付いていませんでした。あれらの母がエルフにしてはドワーフ寄りの“鋼の氏族”に由りますので、これらのパワーゲームに一石を投じます」
「と、すると?」
「スポンスハイムが黙って無いでしょうね。今の御仁は――才ある者の言葉に耳を傾けられますかなあ」
スポンスハイムの魔術王なんて言われてる影の王。




