- C 1345話 死地から脱出せよ 5 -
ナイフ使いの陣営に新しい手駒が増えた。
女王麾下の禁軍と少しの近衛軍も動員された、軽装歩兵らが森にはいって目となって。
突如、島の中心部に殴り込んで――分け入ってきた人類の動向を探ってた。
陸軍の情報との差はなく。
王国としても迎撃することに決した。
状況としては最初の3日で前哨戦。
残りの4日でゴリゴリとひき肉にする感覚だった。
「兵力だけなら圧倒的だったのになぜ自ら不利な軍、再編なんて行ったのだろう?」
困惑する陸軍。
王国軍が兵役以外でかき集められた兵は収穫期ということもあって、少なく練兵も低い。
練兵している暇がなかったからだが。
そんな状態でも撃退に寄与したのは先の、三方に分割したからだ。
「彼らが無策だったとは、うむ、考えにくいな」
人類の排除のために戦闘をふっかけているサイドからすると、烏合の衆という先入観はもうない。
むしろ強かな隣人意識さえ沸いてた。
「どういうことなんだ」
◇
「圧倒的ではないか!」
補給線が絶たれた大軍は死力を尽くす傾向にある。
だが、散発的に奇襲がかけられれば士気なんていつかは落ちるもの。
これで圧倒できなければ将が悪いか、いあ。
「しかし、デュラハン卿の示された情報で、こちらよりも戦果を挙げるナイフ使いの“死神”殿も大した御仁ですなあ」
陸軍の幹部たちが功績を誇らない理由は単純だ。
すでにもっと大きな手柄を挙げたからだ。
侵攻してきた人類軍の生命線を絶ったという事実。
潜り込ませたスパイから持ち込まれた、手柄の横取り。
首なしの騎士・デュラハンの額の汗を拭う奇行。
《ナイフ使いの死神、か》
◆
左軍は陸上戦艦を盾にして、残りのすべてのリソースの放棄とともに瓦解した。
離散した兵の殆どが行方不明か未帰還者へと変わり。
央軍と合流できた者は兵とは呼べない状態だったという。
インターバルは7日ある、が。
その前に14日を超えなくてはならない。
右軍・央軍が成り行きで合流したのは、地ならしで名付けた“ヘブリティーズ”平原。
緩やかな丘陵地が波を模した海のような雰囲気があって。
王国側に開発権を認めさせれれば、穀倉地域へと変わるだろうと期待された。
まさか、ここが戦場になろうとは。




