- C 1340話 大遠征と消耗戦 5 -
執政官マーガレットは、ハイエルフが王国する領土の内側へと移動してた。
辺境伯領の境都より馬車や、飛行ではない方法で瞬時に。
つまりお得意の跳躍魔法、テレポートで。
座標が分かっていれば地形をイメージできればどんなシーンにでも即せる跳躍が可能。
現地に直接出向いていれば、より詳細な跳躍点を打つことが出来る。
地中に跳躍したり、海に没したり、はるか上空に飛ぶこともあるので事前情報は必要だ。
まあ、情報に至っては。
本人が赴く必要無くて、部下たちが集めたログがあれば事が足りる。
「そういうとこは詰めが甘くて助かるわ」
軌跡でタダ乗り最高って話。
跳躍魔法の利便性。
詳細なログ情報があれば人も物も自由に送り届けることが出来る。
応用も可能で、トリガー式で発動するタイプや。
カウンター式で起動するのもある。
あとは、複数のアンカーにランダムで移動するタイプとか、追跡を困難にする目的で仕込んでおくことが出来る――術式なんてのは後手に回った方が読むもんだから発動する前にスペルキャンセルなんてもんは設置型には意味をなさない。
他人の研究何十年を一瞬で見抜くって、何その鑑定眼。
怖いじゃないかって、話。
◇
マーガレットが、辺境伯令嬢を伴って王都に入城したのは勿論計画の為だ。
首謀者自らが足しげなく働きまわる。
これは彼女の美学。
「美味しいスイーツ、Getのために! 前頭葉にも汗を浮かべて、脊椎が震えるような労働の後に、甘くて美味しい甘味を口の中に放り込む。これが一番の癒しだと思わないかしら?!!」
頭皮に尖った小指の爪を這わせて、
「ほら、令嬢も御一緒に」
「えっと、脳がふるえ... ちょ、これフレーズ的に怖いんだけど?!」
「少し前に流行ったセリフなんですけどね。残念です」
読みました。
読まされましたと、釈明する令嬢。
給仕の暇な時間はずぅーっとラノベなる書物が友達だった。
マーガレットの記憶をもとに生産されたスクロールだが。
彼女のでは劣化コピーも甚だしい。
いや。
これが正解なのかもしれない。
あっちのスライムが変なのだと... 小説のキャラクターに悪態をつく魔女。
「で、これからどこへ? 朕、何も聞かされていないのだけど????」
やや不安。
田舎の偏屈なハイエルフとしか思われていないのだし。
王族だとしても。
王城へは一度もあがったことは無い。
「それは奇遇ですね!」
「はい?」
素っ頓狂な。
「王城へ行きましょう」
「えー」




