- C 1335話 大遠征が始まった 5 -
緊急クエスト『戦場にかける橋作戦・物資を最前線へ』が発動する。
納品クエストのライブスタイルで。
穀物百樽を〇K必要とか、具体的な品目が毎時更新される。
時間内で過剰納品になると、交換レートが1:1で固定されるあまり旨くないイベントなんだけど。
常駐して張り付いているクランの場合は初手で大儲けできる。
一部の廃クランはお祭り騒ぎだ。
弱小クランがこれの裏をかく。
バザー売りだな。
納品会場前で陣取って、フリマを開いて待ち受ける。
当たりを付けた品は高額設定で放置。
必要な連中にとっては額の大小じゃ無いからね。
そりゃ安くで仕入れて高く売るは基本だけど、納品クエストで得る功労と軍票は別の話。
余った軍票もいつかは最悪、100Mいや、1000Mほどの値が付くかもしれない。
あと1枚で、あと数枚で、天井まで引けるとかガチャの話だけど。
そういう事が無いとも言えない訳で。
納品会。
普段は大人しい農民クランもこの時ばかりは野獣、いや、これは肉食の猛獣と化す。
ここは別の世界の戦争だよ。
さあて、今日のバザーは何が並んでるかなあ。
◇
普段の局地戦や準備を進めて行う超大規模戦は簡単に言うと『消耗戦』だ。
最前線のランカーはキル数で優劣を競い合う。
有志がかき集めた物資は戦略ゲージの回復に用いられるけども、片方にキルが偏ればおのずとデスによる再出撃コストがゲージに影響して減少させる仕組み。
ね、消耗戦でしょ。
今回のお祭りはちょっと違う。
どちらも目隠しスタートの遭遇戦――と、思っているのは人類サイドのみ。
「デュラハン卿から頂戴いたしました情報により、敵方の補給線。攪乱に成功いたしました」
王国軍将校が気持ち悪いほどの手揉み&掌クルーで猫なで声。
数日前に王都に戻った“ムツキ・ウナサカ”は、その足で陸軍に出頭した。
脱走を疑われて、その口から仕入れたネタを吐露したんだけど。
其処まではマーガレットの指図。
『演技はするんだぜ?』
と口添えしたのは執事のジャン。
陸軍は何の疑いも無くムツキの言葉を鵜呑みにして。
成果を挙げて凱旋したのだ。
宿舎に戻り、空虚な4日目の朝日を拝んでた。
「こりゃ驚いた?! 辺境伯領ではお寝坊さんだったダメダメな子が、どんな心境になったってんです?」
衛兵詰め所で脅してきた人影。
よく見れば王国軍の制服に身を包んでる様子。
「下士官だったのか!!」
自分より階級が低いじゃないかって喉から出かかって。
たぶん呑み込んだ。
「かりそめの姿に突っ込んでたら疲れるってもんですよ。ま、言の葉に出さなかった分、成長されてよかったですねえ」
目が笑ってな~い。




