- C 1333話 大遠征が始まった 3 -
大遠征への『大義』は、ハイエルフたちの王国に対して軍事的優位性を示し、存在を認めさせること。
『交渉』と『解放』などが列挙されてた。
前者は、アヴァロンの開発権とその永久居住権を認めさせるものだが。
後者は、いささか曖昧になってた。
この大遠征イベントが敵勢力の深部にまで侵攻することが大前提であるためで。
それ以上も、それ以外も無いからのようだ。
結果。
軍・兵站部所属のバターナイフ代将は、弁をもって前人未踏で大規模な作戦案を起草したぞという実績が欲しかったようなのだが。
ちょっと迷惑な話だ。
永住権を認めさせるのも、どっちかというと必要なのかなってある。
なんら奪えばいいじゃないって意見も多い。
そのほかの声だと。
軍部はノイズだと取り合ってないけど。
何故、同胞を裏切るような真似をって声かな。
アップルクロス辺境伯の行動。
不気味で怖いって囁かれてた。
「結果的に通ってしまうのですね?」
大遠征作戦案の穴は多い。
兵站部を経由しているにも関わらず補給線の維持や、未開地への侵攻で懸念される不測の事態に至っても「根性で乗り切る」って精神論が吐かれたことが頭を悩ませた。兵站部はいつから夢想家の巣窟になったのか、と。
開発部の主任が愚痴る。
陸上戦艦などを開発、建造している彼らも今回の作戦で予算が削られた。
「最近、祭りらしい祭りが無かったからね」
イベントのことだ。
「憂国軍も傭兵あがりが多い。実入りが少ない時は平和な時だからねえ...小競り合いばかりでは萎えるもんだよ。気力も士気も、財布の紐も、だ」
開拓エリアこと公社に品を納品している大手はクランではない。
辺境伯そのものだ。
彼らが最大の取引相手である。
◇
中規模や、大規模という偶発で起こる局地戦はイベントとしてはぽっと上がる焚火のようなもの。
物も人もその場でしか動かないので開拓エリアの損失は微々たるものだ。
農民クランが多くて今まで大規模なイベントがなかなか起こせなかったのもある。
アップルクロス領でも何かしら準備してたようだし。
その手配が整ったから――
「それがね不気味なんだよ、ね」
「執政官が作戦の成立に票を投じたって、アレですか?」
周辺環境の調査案を出したマグ・ウイナー少将が頷く。
「なんかねえ、ハメられたんじゃないかなあ...って」
「怖いこと言わないでくださいよ」




