- C 1329話 仮面の王とクレイル辺境公主 4 -
気になって仕方がない。
公主がそう切り出したのは、王命も口実として自ら屋敷に乗り込んでやるとやる気だった頃の話。
いざその手前みたいな。
王都を目の前にしたら、やっぱり年頃の女の子だったというオチ。
恥ずかしくて陸上戦艦から下船する勇気が湧かないというのだ。
それは。
「分かってます、認めます。こんな熱烈な封書は初めてで、何をどうしたらいいのか。全然、分からないんです!!! ハナさんやウナさんならこの乙女心、分かって下さいますよね!!」
普通にいい娘だった。
エルフという種族の違いはこの際、越える何かでぐっと距離が近づいた気がする。
ハナさんは腕を組み。
じっと天井を仰ぎ見てる。
やや時を置いて、
「ウナちゃんならどうする?」
声を掛けられた短身長の妖精っぽいのは、すっとふかふかのソファへ潜り込んだ。
「現状の把握が必要だろう。先ずは立地の検分、情報が少なすぎて手の打ちようがない!! この分だと、領地経営が忙しすぎて数年の単位で下屋敷には上屋敷に常勤しているであろう騎士のひとりや、ふたりの何れかを送り込んだことも無いと見えるし」
言い当てられたようで。
公主の口がタツノオトシゴの口先のように伸びている。
定期的な風通しという名の掃除には入っているが。
その時点で誰かが使用しているというボロが出ないのでまた、困るところ。
◇
「そういう事ならやっぱり直接斥候を送り出す必要があるじゃないか」
その選択肢は公主にもあった。
渋ったのは彼女自身でもある。
居たら...
怖いじゃん、だ。
「ギャップ萌え!」
末王子が揶揄うように口にした。
ああ、エサ子さんが変な言葉、教えましたね。
ソレ。
「ギャップはこの際、どうでもいい」
あ、一蹴。
「下屋敷への掃除の件だけど?」
公主がこくりと頷いて、
「事前に通達してます。大規模な掃除に発展して、アパートメント利用しているかもの近隣住民に迷惑が掛かるかもしれないので。勿論、迷惑料として少し包んでますし、ソレが何か?」
何かか。
そうやって使用している住民は、掃除期間中だけ別の区画に引っ越しをしている可能性がある。
しかもまさかとは思うけども。
支度金として迷惑料なんかを着服しているとかね。
「マジですか?」
「いあ、これは憶測だよ?」
――な、訳で。
この斥候には2個分隊6名と、エサ子さんが割り当てられて。
下屋敷へと派遣された。
とにかく、
ハナさんからの檄は『吉報を待つ』だ。




