- C 1327話 仮面の王とクレイル辺境公主 2 -
クレイル辺境公主の下に、
王宮から出仕するよう王命が下された――差し出したのは宰相の印。
用件はおそらく。
「――受託した、国内整備の詰めだと思うわ。国軍が渋ってた案件を悉くあっさりと解決していく公主の手腕が癇に障ったか、鼻につくか気になるんでしょうね!!」
どんだけ卑下してんだこのお姫さまは。
公主と言えば王族の女人を指す。
腕力にもの言わせてすべて拳で解決してきたクレイル辺境公だから。
どんなブレーンを手に入れたのか。
宰相はソレが知りたいってトコだろう。
「公主の人となりは知ってんだろ?」
ウナさんすっかり重臣いあ。
軍師になってて。
王都にすっ飛んでった騎士王とガウェイン卿の穴を埋めてた。
あいつら。
一宿一飯の恩とか無いんだなあってのがウナさんのボヤキ。
◇
王都までの道すがらは――カエデ率いる陸上戦艦で。
方々で地ならししたお蔭ですっかり国民の信も得たし、人類サイドの軍艦という先入観で重度に警戒されなくなった。
金にならない人助けから。
実入りが良くても半分くらいで拒否しながら、善行を積んだおかげだろう。
公主の人柄も功を奏したと言える。
「二代前の女王の娘で、現女王の信任を得て辺境公に封ぜられてる。そういった安定感というか安心感は、民も良く分かってるって事だ。凄いな、姫さんは」
厨房で鼻歌交じりのウナさんは久しぶりかも。
「で、何を作ってるの?」
エサ子さんがカウンター前に。
リアルではそのテーブル、腹のあたりに来るはずだけど。
この世界のアバターでは額が卓上に当たる位しか視界が無い。
よくそんな高低差を許容できると思うよ。
わたしにはムリだな。
見えてたものが急に見えなくなる違和感はずっとぬぐえない気がするし。
ただ単純に怖い。
言葉に出来ない恐怖がある。
あと、その逆も。
急に視界が広がった方も無理だと思う。
先ずは感覚。
腕や歩幅が認識しているイメージと合致しなくなる。
ここ通れそうっていう幅の感覚って個々人で違うと思うんだよね。
「なあ、エサちゃん?」
「ん?」
「マルや私は背が高い方じゃないから違和感は身巾くらいなもんだけど。あんたは、身体を弄ってるだろ正直、手足が短くて筋力もリアルと違うのだろ? 一体全体、どうなんだソコんとこ...」
ウナさんも不思議だった。
鼻歌と共に汁物が出てきた――サムゲタン。
こんなトコでもレシピさえ揃えば再現が可能ってのは凄いクォリティだが。
「ふふーん、慣れだよ」




