- C 1215話 英雄の凱旋 5 -
3英傑とは別の戦場で戦果、功績を挙げた化け物があった。
残念ながら参加していた軍の中でキラリと輝く程度の戦果でしかなく――例えば、宇宙大戦の数百、数千の艦隊からジャイアントキリングばりに戦艦、巡洋艦と次々に食らい尽くしていくような、ハチャメチャな功績を挙げていったわけじゃない。
こう地味だけど、局地のようなバグじゃない怪物っぷり。
参加したプレイヤーサイドが戦慄を覚えた戦場での話。
超大規模戦7日目にして、最終版の局面。
中央の弾幕擦りあい宇宙な条件下で、頭角を現す。
辺境公主の切り札『ファンネル娘』。
漏斗風の飛翔体を念動力で操ってるあたり、魔法というよりもスキルだ。
チートでもないし、慣れと技術と、直観力が必要な個人の性能に引っ張られている。
スキルがあっても誰もが出来るとは限らない。
プレイヤーサイドでも何人かは確認されたスキルだけども、結果的に少数。
もう1%も居なくなってしまった。
これは単に難しいのだ。
動かせる武器は何でもいい。
片手剣使いが、槍に矛が使えたら手数が増えると考えた。
机上の空論として結末を迎えた。
理由は簡単だ。
自動で最適解な攻撃支援をしてくれるわけではない。
という事に尽きる。
故に廃れたスキルになった。
件の『ファンネル娘』はどうか。
漏斗にも見えるけども、彼女のために特注で用意された専用の強化外骨格により、チューニングされた三角錐がソレに当たる。この三角錐、竜の逆鱗という名があって、それぞれの角から熱線が奔る仕組みになっている。
まず間違いなく、アーティファクトの塊だ。
熱線は竜の吐く火炎に匹敵し、自在に操ることでドラゴンフレームはその場を支配した。
◇
図書館から写本を終えたマルは、司書から紙片を受け取ってた。
「それは?」
蒼はマルに問うて、同じものを受け取ってた。
読めない字が箇条書きになってる。
たぶん書類のたぐいだってことは肌感覚で分かる。
「志願書」
「なんの」
「新兵入隊希望、の前の体験希望」
一寸だが納得しそうになった、わたしがあった。
まてまて。
「天ちゃんは留守番がいいよね?」
なんでだよって。
いあ、待て。
わたしは戦闘は苦手だ、苦手ってことにしておこう。
「天しゃんは学校の剣術組手では、本気で騎士団を倒せるんですよ! こういう場も適応力高いと思うので、連れて行ったらいいと思います!!!」
はい。
蒼のヤツ、好き放題言いやがって。
わたしは留守番でイイよ。
そんなオーラを滲ませてた。
マルよ、その気になるな。
いや、そういう時の限って。
賽は裏目に出るようにできている。
「じゃ、推薦があったんで。実のところ書類は3枚あるんだよね」
くそっ!!!