- C 1214話 英雄の凱旋 4 -
三英傑と持て囃される、3人に面識以外の接点がない。
首なしの将は、デュラハンのフレームのままだし。
ウイリアムテル風味な弓使いもソロプレイ。
絡んだ仕事と言えば、間接的な『リアルタイム・キルアタック・ジャッジ』くらいか。
誰が如何ほどの“首級”を挙げられるか。
なんて幼稚な競い合いをしたくらいだ。
ナイフ使いはアーサー卿で『勝利宣言した』。
いあ、正確には「アーサー卿が3人分の首級に匹敵するから」勝ちだと宣言したのだ。
ま、まあ。
首なし騎士は撃退されて脱落したし。
弓使いも開戦途中から狙える獲物が射線から消えたので、それ以上の戦果に繋がらなかったと。
言い訳はしてた。
言い訳はしたけども、3人分には納得しなかったので。
この度の合戦はイーブン。
というか『無かった』ことにされた。
◇
また、3英傑には明らかに序列がある。
ほか二人。
デュラハンと、ウイリアムテルは王国が直接抱え込んだ、自前の兵であるのだが。
ナイフ使いだけは傭兵として雇ってた。
王国との繋がりのあるところからの紹介だという。
宛がわれた部屋に転がり込むなり、
着用してた鎧をひとつ、ひとつ脱ぎ散らかして逝って。
最後、とうとう安っぽい布一枚になってベッドに沈んでた――鎧を拾い集めるのは修道女さんだ。
「おつかれさまですね、Aさん?」
修道女に声を投げかけられた、ベッドに沈む頭からアホ毛が上下に動いた。
声音はふかふかのベッドに埋もれて。
「このナイフはあなたの獲物でしょう? 研ぎに出さなくても」
「んー、いい。それは自分で。柄の方も巻き直しや、仕立て直しが必要かもだから他人に触られたく...うん。ないかな、この世界の刃物って――」
言葉の最後が聞き取りにくかったけども。
修道女さんは脱ぎ捨てられた服も畳み直して。
「普通ならば鍛冶屋に。武具屋や防具屋ってマイスターごとに店を分かつのもあるでしょうけど、大店になると財力にものを言わせて何でもヤるもんですよ。抱える職人が多ければ、わりと量産品になりがちに」
ふ~んって声が天井へ。
「乳布まで床にありましたが?」
拾い上げた修道女さん。
脱ぎ散らかしたナイフ使いの視線がそれぞれ交差する。
片や布。
片や乳。
「うわわわ!!?」
パンツまで脱いでたら。
いあ、それは流石に緩すぎる。
そんな緩い人にアーサー卿が串刺しにされたとか、悪夢でしかない。
研ぎ石に、水桶、整え石も持ってくる修道女さん。
下着姿でナイフを解体するAさん。
「派遣されて最初の大戦でしたが?」
島での決着も道半ば。
とはいえ。
「――あちらは、Dに任せておけば王国の機先は断てる。それよりも東の商業国家で」
すっと視線を修道女に向ける。
おっと、言葉を間違ったようだと気が付く。
「えっとですね...」
言葉に詰まるところじゃないんだけど。