- C 1213話 英雄の凱旋 3 -
順調か否かは、冒険者ギルドが発行している月刊誌に由ると、彼女が言った。
実は、この図書館でなら読むことが出来る人類サイドで発行された刊行誌。
流石にナンバリング通りには入荷していないが。
先の超大規模戦の大勝は記録されてた。
人類サイドは辛勝であるのだが。
流石はエルフの王国、王都のおひざ元――閲覧できる数と、数ページにわたる情報量に掲載まで、大勝を褒めちぎるという担保で細やかながらの冒険者の動きが予測できた。ギルドも漏洩は最小限にしているらしく、精通していなかったら見逃してたな。
「ま、素人の天ちゃんはね」
えー
「いや、蒼も」
「蒼は、マルちゃんにスジ裏まで教育されてるので、読めますよ」
おいおい。
いつからそんな。
「天ちゃんがバッくれて、歓楽街で遊んでた時だよ」
この街、外都に来て“はじめて”遊びを覚えた。
いや、これも情報収集だよ。
後ろめたいことはない。
そ、そう。
ま、多少の声が上ずりそうなことも無かったわけじゃないが。
そこはそれ、皿洗いして借りは返したし。
ハメを外したかもしれないけども。
「はいはい。君はそう思ってるといい...天ちゃんの始末は蒼が尻を拭いてくれた。まったく仲がいいというか、羨ましいほどのラブラブ、いちゃいちゃカップルさまだよ、君たち」
ちょっとマルが拗ねかけてる。
エサちゃんさんが居ないからか?!
「――ここにあるアクシデントってのは、ダークエルフの三英傑っていう最近、大将軍に抜擢された者たちだ。それぞれが外部の出身で、数か月前に島に入ってきたと聞いたよ。いあ、ひとりは...、うん違うな、このナイフ使い。王国と親交深きエルフの郷長との、流れ、いや友誼、っ、要請かなにかで来たって言ってたかな」
エルフの訛りがキツ過ぎて聞き取れないというか。
訳し方に癖があった。
「じゃ、ナイフ使いは客将なんか?!」
いつまでのレンタルかは予測も立てられない。
ただ、時限性であれば。
「確かにタイムリミットがあると思いたいけど、防衛している側もジリ貧ではなかった筈だ。ボクが見て、聞いて、その上で外都のこの活気と熱量からすると、穀倉地帯は無傷だし市場の物価高騰は、恐らく上辺だけだ!! 国土を侵食されてるけどもそれ、それも僅かと言うイメージと実態が把握されている」
「誰に?!」
アホな質問だった。
「国民にだよ、失った国土を正確に伝えて、奪還出来る見込みも夢物語ではない事をアピールした」
例の三英傑の仕事ぶりで、だ。
その効果は最前線の辺境伯や砦に詰める将軍たちに届いている。
これは...