- C 1209話 マルのお散歩 4 -
借家に戻ってこれたチームはひとりもいなかった。
と、言うのも。
そもそもなぜ、彼らが借家を離れたのか。
マルが集めてきた情報を基に、より多角的な精度で深堀と言う情報収集しに行ったのだ。
一応、それとなくだけども。
今回のような襲撃についても。
一般兵は知らなくても、部隊長間では情報の共有が行われ。
また、確率的な襲撃箇所も想定して外出したのだ――まさか一番、危険性の少ない地域が襲撃されるなんて、誰が予測できただろうか。
急に殺風景かつ広くなった借家の食堂。
テーブルについて。
食事を待つマルの大人しい事。
いあ、足がぶらぶら揺れてたんだけどね。
◇
カニによる襲撃と、それの迎撃。
東南アジアのチームが参戦したけども、用意してたハンドグレネード・キャノンや、大口径のヘビーマシンガンなんかが豆でっぽうに格下げられるとは露にも思わなかった。その場に仮にとしてマルが居たら、どういう判断をしただろう。
「いや、マジで逃げるよ」
ラーメンの前で割り箸を割る。
竹製のらしく。
箸先をごりごり削って、整えてた。
「え、あ、なんで?!!!」
「何でって。初見の敵と戦って勝てる見込みが無いからだよ。先ずはそっちが常識だろ? これで俺は、わたしは、ボクは勝つるとか。自惚れか、自信過剰か、死にたがり屋か、あとは詐欺かでしか無いじゃんよ??? それのドレにもボクは成りたくないからね」
大陸のチームも、初見はパスした。
ただ逃げる先を見誤った。
カニの特攻――城壁を突き破った加速力に。
カニが吹き飛ばした瓦礫の山が酷過ぎる。
鐘楼に上ってみた、あの藻屑のような黒い影だけどね。
後日、カニが攻略された地へ行ってみると、だ。
市場になかったようなコンクリートのようなものが多数、散乱してた。
「仮に...」
「もうしつこいなあ。ラーメン伸びるじゃんよ?!」
市場に行けば、今、カニの肉が手に入るらしい。
アレは子持ちだったというので。
王宮には『カニの卵』が献上された。
エビのと同じでプチプチ感があるんだっていう。
「お願い、お願い」
「じゃ、まあ。付き合うとして、攻略でいい?」
「はいはい」
マルは箸をおいて。
鼻先をくすぐってくるラーメンの香りに後ろ髪を引かれて。
「足を片側だけでいいから吹き飛ばすかな。それでも大きな犠牲を出すことにもなるし、どれほどの爆薬が必要かも、こちらは全く知らない当たりで動かざる得ない」
わたしは攻略サイトは?!と、言いかけて息を呑んだ。
マルも察知してて、無言で押し通す。
「――実のところは、この町の住民の逞しさを知る一助になると思う。外都の様子は分かったから、都の更に奥の方々の民度とあり方は、災害級の侵攻が無いとなかなか掴めない気がしない?」
「それで」
「ふん、王都の最終防衛ラインでありながら全く動じない、かな」
マルが溜息を吐く。
それから再び、箸を持つと食事に付いた。