- C 1204話 宙、駆けるナイフ使い 4 -
120人vs120人の歩兵に、各陣営の指揮官が各3人で戦況や戦局に即して指示を行う。
ストラテジー的な要素もあったし。
キルデスの擦り付けを行うアクションサバイバルと、
盤上を挟んで対局するイメージのボードゲームの要素。
これだけなら世にごまんと溢れている。
ここに横槍のシステムが干渉してきて。
第三勢力の信条はひとつ『常に自由』だ。
纏まってる時もあれば、手当たり次第に攻撃してくる輩もある。
こうした無法者は『傭兵』と呼ばれた。
普段はPKなんて愉快犯やってる連中だけども。
そして。
指揮官たちは、この『傭兵』を適宜、引き抜きするのだ。
例えば、報酬で釣る。
或いは、免罪符で釣る。
◇
超大規模戦――各陣246+ α の人数構成で45分間の禁固刑って、揶揄された128マス掛ける128マスのオープンワールド。120人、各人の行動が勝敗に影響するとはいっても、弾幕雪合戦が主な戦場だ。
マップがこれでもかと、広いんだけど。
いや、無駄に広いから功労ポイント稼ぎのため、橋頭保拠点のシーソーゲームになる。
これはこれで人気なのだが。
マップにはチケットが切られて不評である。
他には『局地戦・中』だな。
部屋には参加条件があって、12vs12。
小隊4組で削り合うより濃厚なサバイバルゲーム。
マップの選択権は、スキルコストの低い方が決めることが出来る、連続3試合制。
あとは『遭遇戦・中』かな。
これが一番人気が高い。
何せ、バトルロワイアル形式で――3分前は味方、直後、背中を狙う敵になる。
コンセプトコピーライトだ。
部屋の拘束時間は15分。
参加人数は無制限だけど、マップによって篩にかけられて落選する仕組みなんだけど、熱い。
沸騰都市みたいな熱気が渦巻くロビーなわけだ。
立てられる部屋の数は軽く1万を超え。
早ければ10分足らずで勝敗が決するか、負けたプレイヤーが新しい部屋へ入り直していく。
Co-opでは無いから当然、戦績に消えない傷跡を残して逝くんだけども。
ヤれば分かる。
めちゃくちゃ、気持ちい。
そんな『遭遇戦・中』の戦場に突如、例の異物が現れた。
運営が何度も確認したけども、切られたチケットや通報された件のNPCは存在しなかった。
いや、違うな。
これは正確ではない。
運営がプログラムの海で見つけた、バグのことだが。
将軍級のダークエルフが下位戦場にまで降りてきたような痕跡があった。
しかし、難易度的には倒せないステータスには見えなかったと...
結果、『鋭意調査中』なんて看板がでた。
◇
さて、対峙したRTA常連のアーサー卿だが。
いや、彼のレベルを前にしても。
あの将軍には届かなかったのだ。
いま、卿は串刺しにされてた。
獲物は自身の第二兵装の聖槍である。