- C 1199話 王都と衛兵 4 -
女王の知るとことなった為。
あとは王太子と申し合わせて、継嗣問題の一旦保留とした。
王太子も裏が無い訳じゃないが長姉の息子にしてはデキた子だ。
今すぐ王冠を譲っても別段、問題はない。
ただ、人がいい。
良すぎるきらいがある。
密書も。
裏取りに時間をかけ過ぎて。
ハメられたのだと女王は推測した。
「侍女長? もうタイツ姿は無理があるんじゃなくて」
見た目30手前な頃合い。
見た目10代と比較すれば、確かに肉付が良くなった。
「陛下も」
ふふって微笑が漏れた。
女王は隠れて鍛えてる。
騎士も真っ青な剣捌きも、冒険者時代から衰えていない。
「鍛え方が違うから!!」
自慢の力瘤を見せつけた。
優雅なドレスの下に隠れた筋肉。
これ、ギャップ萌えには。
なるかな?
◇
密告者の狙いは、王太子の失点であろう。
順当にいけば、養子にした長姉の息子が即位する玉座。
これを如何なる理由で廃嫡にするかは仕掛けてきた者の力量に由るのだけども。
ディートリヒ2世の後に続く者として。
今、成人手前の王子や姫は、少なくとも4人。
長姉の息子、次姉の双子姉弟に、母の妹である。
最後の方は外見年齢が十代の半ばで、自ら率いる兵を持つ辺境公主。
末殿下が視察に出向いた『灰色の尖塔』領付近の領主でもある。
ちょっと犯人に仕立てるには強引かもしれないが。
容疑者としてはこのあたりだ。
「あとは、後援の領袖たちでしょうか?」
王太子サイドは、支持母体を厚くするために宰相ら、旧貴族一派に担がせておいた。
ハイエルフの純血統主義者が多数含まれていた。
「次姉の子らはハイエルフの血が微妙とか言ってたな?」
先代は謎の落盤事故で無くなる前に、新貴族一派との融和も必要として。
妾としての夫を複数人抱えるような人物だった。
結果的に女王体制が長いだけで、元は男系王制であるんだけども。
いや、とくに男性はころっころ死んでいく。
暗殺である。
「例えば、成人している誰かの可能性は?」
酷く疲れ切った声が漏れた。
また調べるんですか的な侍女長の悪態だが。
「いあ、侍女長でなくて良いだろ? もっとピチピチの元気な十代もおるんじゃろ?!」
いつになく険しい表情の侍女長。
おそらくは己も若いのだと主張したつもりだけど。
「老眼か?」
ちがーう。
ちがうよね、そうだと思ったんだよ、わたしも。