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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
幻の島、アヴァロン
2344/2365

- C 1198話 王都と衛兵 3 -

『あ、はい... 王太子殿下は末殿下を秘密裡に捜索しておいででした』

 これが廃嫡寸前の継嗣保留になるのか。

「あの子は、遊学したのではなくて?」

 領内を大隊規模の兵と共に回っている筈だった。

 捜索されるような事態になれば。

 当然、報せが入る。

『王都の外まで間者を飛ばしてみましたところ、確かに襲撃された痕跡が散見されました』

 持ってた扇が手の内から滑り落ちる。

 まさに扇が王子と被ってた。

 可愛がってはいたけども後継の列に並ぶには幼過ぎる。

 いや、唯一の実子だと考えれば、その裏事情を知る幾人かは画策でもしてくるかもしれない。


 女王は、先々代と先代の姉に代わって戴冠した人だ。

 女帝リヒャルディスから血を受け継ぐアーデルハイト女王が末娘『ディートリヒ2世』。

 長姉の息子を王太子に迎え、実子には継承問題から遠ざけるように遠い数字が与えられた。

 そうして守ったのにも関わらず。

「なぜ?!」

 そう考える。

 王太子は待っていればいずれ玉座が手に入る。

 彼女の治世はエルフの寿命からすればそれほど長くはない。

 王太子が成人すれば王冠は自動的に彼に禅譲されるのだ。

『王太子は襲撃者ではありません!!』

 それ、重要です。

 ようやく話が動く。

「え?」


『襲撃されたという報せを受け取ったひとりに過ぎません。駆け込んだのが王子の供回りではなく、投げ文だったことを鑑みて、事実確認のために手の者を割いて...秘密裡に行動してたようなのです。王族のひとりが狙われたというのは大事ですから』

 公に騒ぎ立てて、密書こそ嘘偽りだった場合の心象はよくない。

 王太子は何か悪い病気でも患っているのかとか、身内には映らなくとも。

 周りの目が重要なのだ。

 玉座について奇行がバレても致命的ではない。

 暴君だったり、悪女だったりしても。

 それは握りつぶせる。



 もっとも。

 反乱の兆しは育てるかもしれないが。

 先の代の女王たちが遺した王位継承者の数がやや、多いのが難点で。

 長子継承が一番、波風の立たないパターンなのだが。


 どうも。

 それさえも許してもらえそうにないようだ。

『――故に、義母はは上さまにはお話が出来なかったと思われます。王太子も軽率であったことは認められています』

 裏取りに即して事情も問い質している。

 別室で控えている旨も伝えて、

 侍女長は抱えてた足を崩して立ち上がろうとした。

 で。

 彼女を抑え込んだのは女王、本人。

「おい、こら待て」


『え?』


「うちの子はどうなってんだよ!!」

 女王の口調が市井っぽくなる。

 彼女、王宮に戻る前まで王都の外で“冒険者”をしてた。

 ちょっと流行りのやんちゃ姫冒険者で。

 侍女長との仲は、仕事仲間だった。

 酔って侍女長に嚙みついた後が、痣になって残ってる――お尻の肉に。

『えっとー』

 その晩。

 別室に正座させられた反省者が2名あった。

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