- C 1191話 王都 1 -
街道と呼ぶには少し粗末な石畳み。
草をかき分けると、石畳みと草地の境目はしっかり見える箇所がところどころに見えるので。
文化レベルからするとソコソコ高い気がする。
「この窪み、風化しすぎて一見わかり難いけど」
馬車移動用の轍だろう。
ここにはめ込めば、荷車が滑らなくていい。
石畳みの利点は、難所の踏破性を高くすることだ。
歩きやすければ1日に歩ける距離が格段に伸びる。
道を敷くことも凄いことだけども。
その道に快適さを履かせることはもっと凄い。
経済圏の拡大にも繋がる。
利点は多いけども。
「風化が酷いな」
ひとつ気になりだすと、
調査隊も兼ねてたマル一行は、周囲を警戒しつつ道について調べ出す。
戦鬼さんらは遠巻きに見てるだけ。
まあ、そうだろうなあ。
不思議そうだ。
「どうしたよ?」
とうとう戦鬼さんが問うてきた。
プレイヤーの目からすれば、なんで今更感くらいはあるだろう。
確かに美麗なグラフィックだとスタート時では感動したプレイヤーもあっただろう。
フルダイブ型のセーフティレベルを超えた精彩な画像は、正直、背筋が寒くなるようなリアリティがあった。一応、オープニングの導入部分のみで、プレイ中は脳が誤認しないよう細心の注意が施されてはいるものの――非現実なのに、どこか現実っぽい描写が各所にはあって違和感が確かにソコにあった気がしてた。
都度、改善はされてるようだけども。
「石履きの街道ってのは、浪漫があるんだよ!!」
マルがこの上もないドヤ顔で語り始める。
なんつうか、歴史?!
百科事典の丸暗記のような事柄をズラズラと披露し始めて。
質問してきた者をあっさり遠ざけてしまった。
いや、さすがに引くだろ。
質問者には明確に。
コレという回答は無いんだし、そうだなあ。
マルらが真剣にメモまで取って、道についてあーでもない、こーでもないと仮説を唱えている姿に。
疎外感と言うか。
ハブられたような気がしたからだ。
会話に混ざりたかったのかもしれない。
マルもそれを知ってかで。
それでも追い出した。
「――ちょっと?」
蒼が焦り気味に。
「いや、結果的にこれでいいんだよ。副官ちゃん達の行動はこれらかもよく言えば、目立つようになる。戦鬼らが王国の深部まで付いてくるなら、距離はあった方がいいと思うんだ」
マルなりの配慮。
わたしは――。