- C 1184話 エルフの王国 4 -
ぎゃあああー!!!
蒼だ。
蒼が悲鳴を上げて、宿屋全体が恐怖に吞み込まれた。
それだけ真に迫ったホラーめいた叫びで。
番頭さんが、
「お、おきゃくさん、どうしましたー!!!!」
慌ててすっ飛んできた。
AIもビビる絶叫ってどうよ?!
◇
蒼が番頭さんか説教くらってる中、
会議室のこう、トーンというか。或いは温度というか。
『で、整理するが』
くぐもった声の戦鬼の肩を鷲掴みにした、陸に上がった人魚姫っぽいフレームの――。
例の低いトーンの水商売っぽい人さんだ。
「あんた、黙ってなさい。それからどさくさ紛れにマルちゃんを可愛がりなさんな、この子、怯えて威嚇してるじゃない」
ああ、確かに鼻を鳴らして。
フーとか。
猫、かな?
「――ぶっちゃけると、マルちゃんたちの背景は知らなくていいわ。そのうえで、どう助力に成れるかが問われるものだと思うのだけど?」
確かに。
「ゲームシステム側に、こんな力があるとは思えない」
マルが我に返って、
「視覚的にゲームのレイヤーが偶々、偶然にも重なって見えるだけで。質量からしても、現実に島は存在していると、確認もされた。唐突に出現したっていう現象さえ無視すればだけども」
この調査は、そうした背景があって有人探査の運びとなった。
合衆国は無人探査をしこたました。
その悉くが失敗に終わって、、、、
結果、仕方なく有人になった経緯がある。
北方の大陸や、或いは近くの国の漁船なんかも惹きつけたり、犠牲にしたり。
国連に届けられるまで死屍累々の。
『なら、一つじゃねえか』
戦鬼、再び勃つ。
「ああ、もうイキらなくていいのよ」
分かってた。
いや、納得するまでの時間が必要だった。
彼らの。
マルのフレンドたちの決意のような。
カブトムシのおっさんは腹をまさぐりながら。
「仕方ねえなあ、これも腐れ縁だな」
触手をうねらすオクトパス・フレームも似たセリフを吐いた。
みんなマルが可愛いのだ。
「まあ、娘みたいな感覚ですね!」
『そうと決まれば。決まれば... どこ行くって?!』
頼もしい何かが増えたようだ。
◇
宿屋の番頭さんから『王国』への地図を貰う。
ちょっとしたイベントかな。
で、フラグは立ってたんだ、後は回収するだけの話。
問題は、ここからで。
ハナさんたちとの連絡手段が絶たれた。
そこで、冒険者ギルド出張所の掲示板を使う。
緊急連絡の枠からひとつ『介護を頼む』という電報だ。
誰当てとかも伏せて放った。
「これで分かるかな?」