- C 1179話 ポンコツ騎士王と装甲列車 4 -
「そう、ガウェインの世迷言かと思ったけど、違うのね」
4人の女子の中で、モルゴースさんだけがアーサー卿と会話してる。
他の3人は三者三葉。
リアルでも義姉、義妹の関係なメルリヌスとヴィヴィアンは。
互いに仲良く手を繋ぎながらベッドを物色中だ。
シングルが4つある部屋なのだが。
姉妹はひとつのベッドに潜り込んでいる。
「ちょっと姉妹たち、奥で乳繰り合わないでね!!」
なんて、モルゴース女史から注意が飛んで。
見えるはずもないし、ちちくりってとも思ったに違いない。
図星でもないけど。
まあ、何をしようとしてたかは想像に任せるとして。
アーサーの耳が真っ赤になってた。
「え、えー!?」
声が震える。
驚きのあまりに、いや、不覚にも想像してしまったのだ。
「あ、今のは忘れなさいね、卿?!」
彼は激しく頷いてた。
ちょっと忘れ難い事柄ではあるんだけど。
忘れることにした。
◇
「で、なんだったかしら?」
グラフィックの変更点。
ささやかな変更だけならば、ここの運営はわざわざ告知することはない。
ただ、島に渡ってきたプレイヤーたちは帆船で、島の沖からボート――いわゆるカッターという上陸艇に乗り換えて、フジツボ群がる桟橋に降り立つ。海側へ振り返ると、帰路を急ぐ帆船の姿が見えてたものだ。
「ゲームが違うとか」
「だとしたら大問題ですよ」
そうよね、そう。
モルゴースさんは己に言い聞かせるよう、頷いてた。
船がキャラというアクションシューティングゲームはある、今でも。
コラボ告知があって当然だし、無いとどこに収益が絡むのか意味不明で怖い。
あれ? サ終かなとか。
邪推してしまいそう。
「仮に国連軍だとして、何か不都合はあるでしょうか」
わたしたちの不確かな存在。
モルゴースさんたちは無線交信の傍受もしていて、いくつか不可解な符丁を捕らえてた。
気にはなるけど余暇でハッキングはしたくない。
いあ...
装甲列車の豪華ツアーの客席確保と予想以上に身に余る極上サービスが堪能できるよう、もりもりに盛った歓待プログラムを弄って乗車してきた厄介な4人組であって。これも立派な業務妨害だし、ハッキング行為だ。
まあ、本人たちがゲロってるんだが。
「たぶん、ね。マルちゃんが絡んでるのよ、アレも小遣い稼ぎは母親の方針に振り回されてるから」
モルゴースさんを『ママ』と呼べば、小遣いくらいは都合つけると打診したけど。
丁寧、丁寧に断ってた。
「それ呼ばんでしょ、普通」
「常識に捕らわれないで!! そこを如何にして呼ばせるのかがキモなの」
なんでーって声があがる。
あの義姉妹らから。
「マルちゃんが可愛いから」
動機が不純ではありませんように。