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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
幻の島、アヴァロン
2313/2363

- C 1167話 奇襲と戦災孤児 1 -

 監獄島から脱走したMPKクラン、チンギスハン”の行方がついに知れ渡る。

 各地のギルドで話題に上がってたところだ。

「――どこだって?」

 PKKクラン『サクセス☆レンジャー』に所属する連絡員が訪ねてきたところ。

 雑用の煩雑さが目立ち、なんで連絡員しているのか、クランの人間捕まえても判然としない戦闘狂で。

 少なくとも第一線から外されるような弱者でもない。

 いあ、これ一人で町の警備兵だって相手にできる強者だ。

 で、

 ガラの悪い、連絡員がギルドの受付嬢を泣かすまで3秒前。

「もう勘弁してください」

 受付嬢に代わり、泣かされたのは支部長さん。

 40過ぎのおっさんが半べそになる。

「ヘスペリデスの冒険者ローバーギルド出張所からですって言いましたよね? これ以上の情報はありませんよ、メンバーの大半はソレと判別するには困難なほど、ペットのエサに成り果て。唯一の生存者もトラウマによるMPマイナス値が恐ろしく、暫く着衣緊縛・開脚なんとかって、うなされている状態です」

 事情を聴くには、汚染されたMP値を正常化させ。

 何者かに支配されている状況から解放する処置が必要になる。

 まあ、ここからでは何もできないのだけど。


 いっそ、移送させようかって話もでた。

 クランの大半は死亡判定が出ているので、おそらくはデスペナを食らって地下に潜伏したものと考えられる。

 したがって、今、この生存者ってのが唯一の手掛かりなのだ。

 先ずはどうやって脱出したのか。

 次に、なぜ『大呪海』なる地にあったのか。

 ついでに、賞金首との交戦記録についてだ。


 後者はログ読め、カスって暴言が返ってきそうだけど。

 ギルドにも配信の記録が残っていなかった。

 意図的に消された可能性も、疑ってみたものの――そもそも論だ、MPK『チンギスハン』の戦闘記録配信、実況中継がタイムテーブルに無かった。

 誰も、視聴していないって話で。

 配信したと言い放った、クランすべてが喪失したのだ、忽然と。

 マルとわたしたちが見つけなかったら、忘れ去られるような小さな事件だったろう。




 あれ、ヤダ。

 寒気がしてくるじゃない?



 エサ子さんと似た風貌の幼女は今日も元気だ。

 ――拾ってきて「この子はボクの妹にします!」マルのように時々、ボクっ子な口調になるときがある。

 意識しているときと、無意識もあるので。

 実のところもともとそういう気質なのではと思う。

 ほら、大財閥のお嬢様という世間向けには、ボクっ子は需要はあっても軽んじられてしまう。

 八ッ橋家は、ね。

 アレでもスジ界隈ではヤバい人たちってレベルで認識されてるし。

 陸華堂ろっかどう家は正当な武家。

 後者も要所でガラの悪さが目立つもんだけども、

 なんだろうねえ育ちがいいのかな? どこかに品が混じって見える時がある。

「PKK界隈でもトップクランの『サクセス☆レンジャー』ってのが、方々のギルドを回ってエルフの情報を集めてるって話なんだけど? なんなんよ、あのヒリついた感じのは??!」

 “ライン・オブ・デス”の街にも、その連絡員が訪問してた。

 赤いカエデの陸上戦艦を睨んでいったって話も、すっかり噂話としてNPCの会話に出ている。

「PKK=治安維持じゃないからね、ただのプレイスタイル。と、割り切って言えるのはせいぜい、何も背負わない私たちのような『傭兵』ってトコでしょ」


「ちがうの?!」

 って声も上がる。

 うんうん。

 PKKのトップ10に入るクランは、大規模戦というお祭りに代理指揮という形で戦術面、戦略面で意見を投じることができる権利が与えられる。つまり、人類サイドにおいての将帥めいた立場が約束されているって話。

 で、こんな重責を纏うのだから。

 スタンスも『善よりの善』になっていく。

 これは必然。

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