- C 1164話 交易都市と傭兵 4 -
戦鬼こと、公爵1129って名のプレイヤーは、軽薄そうな声音を持つ巨漢だった。
兄貴肌が地で行く感じで、面倒見がいい。
エンカウントして10分。
しばらく十蔵くんとの掛け合いを見ていて、悪い人じゃない。
いあ、こいつは兎に角、カリスマ性がある。
部隊を率いるぞって、決意したマルのような存在感が。
これは慕われるし、敬われるはずだ。
『ところで、こんなジャングルで?』
何をしてたと、怪訝な雰囲気になる。
マルの友達だから遠慮は必要だし。
「あー、交易都市を探してたんだ」
くぅー痛恨の。
『なんだ、そんな事か。早く言えよ、俺たちも交易都市に向かう途中なんだ。クエストの遣いで納品を受けちまってなあ、とりあえず...』
戦鬼と、その後ろに控える小隊員。
3人とプラスで、NPCのダークエルフが十人ほどちらっと見えた。
すぐさま茂みの中に消えたようで。
「納品? こんな時期に?」
『ああこんな時期に、な』
詳しく聞いてもいい?なんて弱弱しく問う。
なるほどこういうギャップを見せて、相手の気を引くのか。
こんなことしてるから、
エロい子って。
まあ、いいか。
◇
交易都市までの道行きに例の『御遣いクエスト』について語ってきた。
マルが興味津々だったことと。
状況の再確認を取る為だ。
「じゃ、じゃあ。コレ(NPCが運ぶコンテナに指を向ける)は略奪したのか?!」
言い方。
『略奪というよりも、奪還が正当かな。氏族は知らんけども、ダークエルフの大部隊が先に確保していたものを返してもらったって認識のようだったぞ?』
誰のって当然、聞かれるのを分かった上で。
戦鬼さんは、
『王国の将帥どもだ』
戦鬼はプレイヤーを襲撃したので、現在、PKとして追われる身となっている。
追う、追われるは醍醐味の一つ。
「王国の将帥って?」
わたしの問いに対して不思議そうな顔がちらちら見える。
交易都市へ訪問する理由として、判を押したようなゲームプレイに飽きたからってのが大半だが。
『また、十蔵の無茶ぶりに振り回される犠牲者か?!!』
また?
言うからには、犠牲者は少なくないと見た。
「蒼と天しゃんは、産毛の生えたヒヨコです!」
なんて蒼は自分から紹介しに行く。
待ってても埒が明かないと思ったのか。
いあ、マルが紹介しなかったのだ。
『いあ、悪い悪い... 俺の目だとワタリガラス1、2、3...にしか見えんでな』
紹介するとややこしいと判断したためのようだった。
な~んだ。