- C 1161話 交易都市と傭兵 1 -
うだるような湿気に、
鬱蒼とした茂み――目を凝らしてみても、人か樹木か、ただの草かも判別できない暗さ。
真にエルフだったら歓喜してただろうか、いや。
どうかな... こればっかりは成ってみないと分からないな――。
たぶん、スキップのつもりで小躍りしながらステップを刻んでたかもしれない。
「エルフにそんな習性はないよ?!」
蒼はとつとつと、うんちくを垂れ流す。
「ふふ、見よ! この茂りよう」
わたしの足元にまでツタが伸びている。
そして、だ。
よーく見たら有名なMPKプレイヤーが樹木に。
それこそモグモグ食われてるじゃないか。
「ほら、エルフだったら」
「だから、エルフ=で自然の守護者めいたイメージはハラスメントだってば」
蒼の口からハラスメントですって。
◇
MPKを助け出しても、意味のない事だったけども。
マルも下半身をモグモグされてたら話は別で。
こんなツタのモンスターもいるから気を付けてねと言ってた傍から喰われてた。
「くぅー約束事とはいえ、体張り過ぎだよ!!!!」
「張ってたイメージはないんだけど」
助け出された植物の瘤から、MPKの骨が出る。
今のところ無記名のボディ・パーツと言う家畜の飼料になってた。
ペットも飼育できる自由度があるけど。
食事代もリアルにかかる。
愛好家たちの間では、愛猫だったり愛犬だったり、愛鳥に愛竜なんかもあるかな。
そんな彼らが呟くのが『壮大なカネ食い虫ども』だ。
マジでマゾなリアル性。
クソもひねるし、臭い息の欠伸もして、じゃれながら噛みついてくるペット。
別の愛好家はゾンビと、人も飼ってたりする。
うわ、怖っ。
「――で、マル氏に質問です!!」
蒼が俄然やる気に。
「地下茎による甘い締め付けがあったと思うんですけど。マル氏はどんな緊縛が好みですか? ここはオーソドックスに亀甲、いあ。少し技術のいる背面観音縛りです???! えっと、えっと他にM字開脚・屈脚固定縛り!!」
きたし、コレ的なひらめきに目を輝かせて。
当のマルがドン引きである。
彼女は下半身をまるっきり地下茎に食われてただけでだ。
ここでツタで縛られてたのは。
死後、4時間とみられるMPKプレイヤーたちだろう。
いあ、そもそもその縛りのくだり。
どこで仕入れたんです? 蒼さん。