- C 1160話 凶悪なエルフが出たぞ! 5 -
ぶっちゃけると、フィールド上で俺Tueeee!!!を体感するチームが出なかったわけではない。
強化外骨格は、プレイヤーを襲撃するとドロップしたのを使い。
職業、傭兵ってのが――
「ひぃーひゃっはー!!!」
なんて、悪ノリすると手がつけ無くならる。
凶悪なエルフが出たぞ。
掲示板の賑やかなコト。
「賞金首にNPCが載るなんて珍しい」
シナリオとしてなら珍しくはない。
ライブイベントの一つに『月下に彼岸』とか言うカレンダー・シナリオがあって。
お彼岸の季節になると、ソレは糞忙しいのに7日間という短いスパンで唐突に開始される。
いわゆる、初見殺しなんだけど。
運よく参加すると、だ。
金色に輝く特別なガチャチケットが手に入るのだ。
有料だとパック商品のひとつ。
期間限定だし、確率も決していい方じゃあない。
フレームの強化パーツか、シナリオに因んだ武器か。
特定スキンとスキル付きの強化外骨格だ。
近接白兵特化モデル。
先の賞金首になったNPCが使用している強化外骨格だ。
ハナさんは手元のステータス画面からスケジュールを確認する。
“ライン・オブ・デス”の酒場の店主は、日課のコップ拭きをしながら――「未だだよ、ライブイベントにはまだ少し時間がある。それに、」
そう。
それにと続くその先。
NPCは彼我戦力差を瞬時に見極めて、狩り易そうな獲物なんか見極めたりはしない。
もっと言えば、だ。
そもそも値踏みも、拮抗するようならいずこかに逃げていくという柔軟さはない。
解決まで少し時間がかかるかもだが。
いずれはそんなシステムを導入したいと、運営は考えている。
「掲示板のこれでしょ?」
ハナさんが指してるのは目撃情報。
この駐屯村から近いけど、厳密には隣のエリアの何処か、だ。
近いとはいってもライン跨ぎで近いだけの肌感覚。
「評議会に呼び出されてるんじゃないのか?」
「うん。でも、ここにこれだけ集中しているなら、さ」
これは口実だ。
どこかの政治家が『政治に空白を設けてはならない』というのとそっくり同じことを。
これらの戦場に当てはめる。
「現場は生ものだからね、生きのいい情報が得られたらすぐさま、向かわなきゃならない」
ゲーム内時間ではほぼ、6日目に突入していて。
招集した評議会もこればかりは大目ににているようだ。
あと、気になることが。
「MPK『チンギス飯』はどったの?」
最近顔を見ないけど。
手拭いを畳んで、
濡れた冷ややかな手で顔を拭う。
顎鬚の立派な店主がうめくように――
「自業自得だと笑ってやってくれ」
「なにを?」
「賞金首に手を出したら、逆にMPKされて監獄島に入ってやがるよ」
ハナさんだけじゃない。
エサ子ちゃんも『は?』なんて間抜けな声が漏れていた。