- C 1154話 騎士を拾ったはなし 4 -
「ボクたち上陸組は異物として認知されたと仮定すると」
おいおい。
ワンチャンで、
「いあ、無いと思う。エサちゃんやハナ姉はボクらを見誤らないって、希望は持ちたいだろうけども。恐らく、プレイヤーからしたら背後が歪むほどの敵意と、憎悪のオーラをまとったエルフに見えるんだと思う」
そんな具体的な。
いあ、待てよ。
接触してきたのがノラの騎士だけじゃないとすると。
この依頼の数は。
「他のチームたちがそれぞれに接触を持とうとした結果だよ」
マルは『ボクも博打でこんな仮定は立てやしない』という。
浜辺の本陣から離れたチームは多かった。
まあ、わりと冷遇されてた国から順に内陸部へ散った感じだったし。
と、すると。
「これからどんどん、こんな感じのオーダーが張り出される。今は大規模戦イベントへ戦略物資が採取され、納品するクエストも盛んだから。オーダーは増えても受注するプレイヤーは少ないと、見て――」
マルが頬を両手で挟んだ。
変顔ほどじゃないけど、かわいい顔を歪ませてる。
「うーん、どうにか他のチームと連絡を取らないと、ちと。不味いことになりそうな予感」
マル曰く。
拗れたことがあるという。
◇
暫く時が進んで――
半日以上は経過したところで、依頼の内容が変化する。
「マルちゃん、これ!!」
蒼が注意して見てた『求人サイト』のオーダーだ。
「やっぱり出たか」
「なにが?」
危惧してたんだよって、マルがつぶやく。
「ボクらの目にはゲームで見慣れたフレームのプレイヤーだけど、各国のチームは選抜された精鋭か、金で雇った傭兵だからね。アヴァロン・クエストの事前情報が無いなら、遭遇したら即、交戦は止む無しなんだが... 状況が状況ならプレイヤーを排除するんじゃなく捕らえるかもしれないと思った」
「そもそも」
「そう、ゲームの島と似ているからと、アヴァロンかどうかは分からない。情報としての価値は二束三文だよ、それでも信じてくれた国には、メディックボットを提供した。本音でも得体のしれない島に生身で行きたくはないからね」
さて、好戦的なエルフの襲撃報告がこの後、30分ごとに増えていくことになる。
農民プレイというタグ付きのプレイヤーや、クランが狙われた。
無抵抗ってわけじゃないけど。
抵抗が組織的じゃないことが狙われた理由だろう。
陸上戦艦に籠るハナさんの下にも――開拓街評議会から要請として告げられたとこ。
「今、急ぎの探索系クエストの消化中ですので」
お断りひとつもメールではなくチャットを強いられた。
『PKKクランは上限が決まっている、理由は承知だよね?』
画面の向こう側のアバターは、尾が3本あるシャムネコ。
なんか針金みたいなのが、画面の端に見え隠れする。
「ええ、はい」
PKは、システムを理解してやり込んでいるゲーマーだ。
たまに単に楽しいからってのも居るけど。
殆どは、RMT業者は赦さないマン的思考のPKプレイヤーで。
敢えて赤ネームになるパターン。
彼らと接点を持つことは、裏社会を垣間見ることが出来る。
情報収集には必要なことだ。




