- C 1153話 騎士を拾ったはなし 3 -
開拓街の掲示板は、攻略サイトにもミラーリングされてある。
ダイブが出来ないのでこうやってだ。
情報収集しているのだが。
「この『好戦的なエルフ』ってなんだろ?」
ゲームもプレイしてて、エルフを見ないファンタジー作品はない。
残念なエルフが主人公な作品も多いけど。
バーサーカー顔負けの凶悪で、好戦的なエルフは。
わりと。
「浜辺でBBQしてたエルフ、ドラゴンの背に乗りライディング楽しむ――とか、あるけど」
マルは一度、こちらを振り向いたけど。
まるで回れ右と、誰かに号令でも掛けられたように立ち去りかけた。
わたしが彼女の肩を鷲掴みにしたら――
すぐに鼻歌を。
こいつ、なんか知ってんな。
◇
直観は的中。
いあ、そうでもない。
隊長同士で共有された情報の中に、だ。
噂のガウェイン卿と戦った可能性のあるチームがあったっぽい。
大陸の方々だ。
1度目は遭遇戦で、2度目は追撃戦に。
どちらもバーサーカーでも相手にしたのかって知性も理性もない殴り合いの――。
損害は中破で部隊の半数。
小破では、ほぼ全員という惨状なので一時避難している。
どこに?って突っ込みかけた。
「其処は重要じゃない。プレイヤーと、ボクたちの見ている光景が少しだけ」
口を尖らせ、マルは吐いた言葉を飲み込んで。
「だいぶ違って見えるようだ。これは、ゲーム的な保護システムか芯たる基幹システムが、ボクらを異物とみなして置換した結果かもしれない。少なくとも歓迎されないだろうなあって」
思ってたわけだ。
まあ、システムの玄関から入れば客だ。
勝手口からこっそり入れば、泥棒と大差ない。
島の入り口は、ゲームのオープニングと同じだとしても。
アクセスは外からこじ開けたように映ったのだろう。
では、上陸出来たこの島は何?って疑問は残る。
「そこは何処かのエロい人たちが解き明かすと思ってスルーしてる。質量を持った謎の島、これだけでもSFのネタだもの。しかも周囲の時間や光が屈折しているような磁場があって、島だと知覚できるまで北極海が黒い孔に飲み込まれたように見えたって話。信じないでしょ?」
そんなトコに合衆国は、兵士を差し向けたのか。
ほんと無茶をする。
「じゃ、じゃあ。話は戻すとして」
「うん。凶悪で好戦的なエルフは、一般的にダークエルフと呼ばれてるのを指してるけど。このアヴァロンでは王国の兵士が肌の色などに関係なく、開拓街のNPCたちが言の葉に乗せて呼ぶ者たちってトコかな」
わたしはオープニングは見ない。
配信したりすることが無いからだけど。
ふむ。
マルはレビューもするのでしっかり記録映像を取ってた。
アーカイブまで探しに行けば、たぶん何処かに圧縮データが残ってるとは思うけども。
そうそう時間も無い。
今も攻略サイトを見るに。
『情報求ム、凶悪な目つきの好戦的なエルフ、探してます』
てな具合の探索系クエストが張り出されている。
いあ、どんどん似た雰囲気の依頼が増えてる気がした。