- C 1152話 騎士を拾ったはなし 2 -
とんだ拾い物だ。
最高だ、とか。
これはいい物だ、とか――そういう類の誉め言葉じゃない。
どっちかというと。
厄介者の方の。
とんだ拾い物だ、だ。
「ひどくないか、ひどくないかー!!」
何を今更。
ひどくないかーは、こっちのセリフだ。
数分前、
『おお! どこかで会ったか? もしかしなくても“ガウェイン”とは、私のことだ!!!!』
と、宣言した舌はおまえのだろう。
迷子の円卓の騎士。
この二つ名が燦然と輝くステータス画面。
アホな子が増えたよ。
「アホとは聞き捨てならんな!!」
ウナさんが厨房からのマイクで唸ってる。
アナウンス機能がONで、
不機嫌そうだ。
「ウナさんぢゃないですよ」
メシ作らんぞって言われるのだけは避けなければならない。
「どうしたのだ? 諸君」
巨躯なシルエットを持つ“ガウェイン”卿。
筋肉の鎧に豊満なバスト。
柔らかいのか、硬いのか。
「メシ、上手かったぞ」
にっかにかに嗤う天然の筋肉。
空気嫁というスラングがポップする、尋問室。
◇
システム上。
記号化された食事は、誰が作っても一緒という結果にならなかったのが。
ハイファンタジー・オンラインの特徴の一つだ。
そんな悪癖をこのアヴァロン・クエストも引き継いでしまってた。
「すごいな、ここのオムレツは!!」
ウナさんのレシピだからな。
なんとなく非戦闘員でついてきたウナさん。
アバターと一緒に作った強化外骨格も、支援全振りだったけども、だ。
乗るでも無しに倉庫に放り込まれてある。
今は、陸上戦艦のマスコットとして従事していた。
「“ガウェイン”卿、どうして?」
ハナさんの探りが入るけど。
まあ、天然さんにソレは野暮ってもんです。
やや斜め上のシミでも見ながら。
「騎士団とは、その、うむ! 今、喧嘩中なのだ!!!」
分かり易いなあ。
何らしかの意見齟齬で、反発したのだろう。
いや、其処は反逆の騎士のポジションじゃねえのか。
「あー、モルドレッド卿はその。魔法使い、ガンドのやつに心酔とまではいかないが。いい子だからさ、今回は聞き分けが良かったんだよ。納得したかは不明だけど、な」
そっか。
そっかで片付けられないけど。
反逆の騎士も納得できる意見に、この騎士は反発した。
複雑だ。
結果、飛び出したら――帰り方が分からなくなった。
その円卓は動物園か?!
「えっと、これまでにどんな勢力と会えました?」
ハナが問うと、脳筋の顔がぱっと明るくなって。
「うむ! やや好戦的なエルフどもと対峙してな!! これを2度退かせてやったのだ!!!」
この脳筋が。
いや、待て。
エルフ? 好戦的な、そのフレーズ、何処かで。