- C 1149話 蒼と薄い本のはなし 4 -
マルを観察する機会を得た。
そう、蒼は言った。
ゲームからのアプローチ組は昼休憩の後に、コクーンへ入ったけども。
わたしらは12時間は何もデキない。
否。
蒼だけはガリガリと鉛筆の音が絶えることなく。
一心不乱にマルをデッサンしてた。
「どれどれ」
息を呑む。
マル、剥かれてるじゃんよ!?
◇
目の前の幼女、マル。
司馬丸恵はぴっちりと肌に吸い付いた専用のスーツに肢体をおさめて。
ちゃんと着用している中性的な女の子だ。
おしり、ちっちゃい。
かわいい。
バストが無いと、思ってたけどよーく目を凝らしたらさ。
あったわ。
うっすいけど、ぽよ~んってな感じでかわいい丘が。
そのふくらみはじめたような丘を台無しにする、下っ腹と、恥ずかしい丘が。
なんていうか目立つ。
これが、幼児体形?!!
す、すご、すごすぎる。
破壊力が半端ない。
「そ、これがマルちゃんの魅力なんよ!」
蒼のドヤ顔がわからないけど。
「――で、ぶっちゃけ。続刊は?」
どうよで話を無理やりにでも挿げ替えようとした。
努力は買ってくれ、マル。
ダメだった。
「今までこっそり描き貯めてたマルの画集を出す。んで、禁断の男装王子と女装姫って感じで薄い新刊出そうと思ってる。てか、もうデータは印刷にあるだろうから近日中に段ボールが、天しゃんの部屋の前にあると思うよ?」
なにゆえ。
「だって一緒に住んでるんだから。使ってないメイドさんの部屋にでも放り込んでおいて」
マジか。
あそこを片付け、侍女長の忘れ物をすべて処分したんは。『ほかの女の匂いがするのは嫌』という生理現象のソレじゃなかったのか!!
「え、あ、いあ。匂いも何も、使えるもん置いて出て行ってくれた事には感謝するけど。蒼の髪質に合わなかったし、残念ながら石鹸が安物だったんで捨てました、廃棄です。あー、わんちゃんかなあ、蒼の匂いを天しゃんに擦り付けたい気分です!!!!」
そっかあ。
そういうヤツだった。
蒼の薄い本だが。
既刊本が数本あって、残ってたもんの在庫処分一掃するという話で。
続刊にはモザイク無しというか、どこにモザイクがあるんだというレベルのキノコの話、これが平積みになる。
で、マルの画集だけど。
これは本人には言えないレベルの剝かれ方されてて。
全部、全部、ぜぇ~んぶ、蒼の妄想レベルで描かれている。
例えばだが。
教室のようなシーンがあって。
こう、ハンカチを机に上に敷いたカットがあって――パーンした先に風を感じている女児が映り込んでくるんだけど。いやいや、マッパなマルが...がふっ、不覚にもわたしが鼻血だと?!!
「ふふ~ん、そっか。天しゃん、そちもイケるのかあ」
お、おい。