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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
幻の島、アヴァロン
2292/2364

- C 1146話 蒼と薄い本のはなし 1 -

 ――唐突だが、学校に前倒しで長期の特別休学を申し込んでた、わたしたちの下に。

 【おしらせ】と言う名のメールが届く。

 今時、紙で配達されたもので珍しかったとのことで。

 二葉家は、まあ。

 わたし一人しかいないから、郵便受けに刺さったまま放置。

 陸華堂のあおいの方では、大切に保管されてたようだけども、この度。

 蒼の親戚と言う子が。

 方々でわたしらを探して回って遂に、ついに...。

 届けられる運びとなった。



 あおいを結局、道具として見れなかった宗主代行さま。

 婆さんだが。

 彼女が【おしらせ】の封書を確認したという。

 あおいは、実夫に実母がある家庭の子ではあるけども、彼女はババさまが預かってる子だからな。

 親代理として中身くらい見るだろう。

「はっ、夏季休校だって?!」

 吐き捨てた。

 いあ、マジで紙の封書ごとゴミ箱に行きかけた。

 拾ったのは嫡流家ご当主の景親かげちかさん。

 スリムダンディのイケオジさま。

 風貌は先の通り、薄い青緑の山水画のような柄が描かれた和装に。

 狂言師か日本舞踊のお師匠さんっぽさ。

 とてもとても、武闘家には見えやしない。

「おっと、夏休みか。なら、」

 そう。

 赤道直下を往く人工島に夏休みの概念があるのは、イベントだけのせい。

 本質は日本人なので、カレンダー通りの行事はすべてやっておきたい。




 たとえ、本国の列島も。

 四季なんて半世紀前にどこかへ置いてきたかのような、状況だとしても。

 初夏のような暑さで正月を迎え。

 梅雨か、秋雨かの長雨に晒される七夕に。

 真冬に上がる花火大会――凍えるようなというか、凍てつくブリザードも吹雪くようなので。

 花火大会は富津沖、50キロメートルで打ち上げられている。


 隅田川で上げたら、強風で煽られ、新築のマンションを直撃爆破したためだ。

 テロに見えたってはなし。

 で、春の記憶もおぼろげに初夏のようなで、1年が過ぎていくという。

「やっと、やっとだよ」

 なんかボロボロにやつれた嫡流家の三男坊がある。

 マルが道場の玄関口で迎え入れてた。

「粗茶です」

 ウナさんが、カタカタ震える盆で湯を出した。

 茶葉は缶の中の粉を適宜投入する。

 好みがあるので、淹れないことにした、司馬家の作法のようなものだ。

 ウナさんもこの扱いを受けたことがある。

「マジで粗茶ですね?」

 喧嘩売ってんのかって雰囲気だよね、分かる。

 よーくわかる。

「お好みは個人差に寄りますから」


「いやいや。ここは薄かろうと、濃かろうと... っ、先ずは茶でも水でも大差なくてですね」

 存じてます。

 腹で嗤い、表てに修羅を出するマルの姿。

 おい、それは逆だ、逆。

 三男もやや引きつりながら、

「俺は客だ。招待ばれもしない客だろうが、それでも訪問客だぞ!!」

 この無冠ものってな威圧感が肌に刺さる殺気。

 マルと、この三男坊は相性最悪だな。


 封書を置いたらさっさとね。

 って感情がまるだし出し。

「なあ、時に。っ、その、あおいの副業だが、新刊とか続刊のはなしをだな。聞いてないか?」

 滑り込ませた話題に耳が立つ。

 な、なんと?!

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