- C 1143話 国連軍と大規模戦闘 3 -
アヴァロン・クエストの大規模戦はひとつの祭りのようなところがある。
勿論、勝敗は司令部の破壊であるので。
弾幕雪合戦に夢中になってると、なかなか終わらないことも多い。
それでもキルデスくらいの分かり易い自己満足度も他にはなく。
キル数を重ねれば、脳汁に溺れてハイになり。
デスを重ねれば、台パン、フレンドファイヤ、みなとも道連れの自爆コースと。
人それぞれに欲求の満たし具合がある。
さて、
戦場は大きく分けてふたつ。
拠点強襲戦か、雪合戦か。
まあ、後者の方が主と思われてるね、コレは。
両軍に割り当てられた継戦力ゲージがゼロになるまでなら、何度でもリスポーン可能。
雪合戦が一方的すぎると、ユーザーから『懲役刑』なんてワードが飛び出す。
継戦力ゲージは、戦略物資と同義でもある。
資源の調達組がフィールド上の狩場から専用アイテムを入手し納品すると、ゲージが一定数回復する仕組みだが。前述したように雪合戦で大破したフレームのコスト次第では、リスポーン時のゲージ減は納品よりも大きく削がれることになる。
戦場で飛び交う合言葉に『いのち、だいじに』ってのがあるのが、それ。
言って、雪合戦で熱くなった連中には聞こえない言葉だ。
◇
浜辺に打ち上げられた物資に群がるフレーム。
国連軍の残骸を一通り見渡して、
「リスポーンしないのか?!」
なんて、独りごちる者があって。
やっぱり不思議そうにドロップしたコンテナ群をまじまじと。
「どういう事かは分からないが、やや不気味なNPCだったな」
「まるで、上陸したての雰囲気があった」
彼らの目にはワイバーンを動員した、島の勢力のように見えていた。
記録映像にも。
人影の方はエルフのように横に張り出した耳が生えて。
顔色の悪そうな肌と、牙のような歯が下顎から突き出ていた。
んー。
わたしらも残ってたらそう見えてたのか。
ちょっと複雑な心境。
「深く考えるのは後にしよう!!」
開かれたコンテナに弾薬と燃料があって。
七色に輝く鉱石のような『コア』が見つかった――わたしたちの目で見れば、黄色と黒色の歯車みたいなマークで恐怖する、例のアレ。
「撤収だ!!!」
このコアを他の勢力も狙っている。
ゲージの超回復にはコアが必須だからだし、フィールド上ではなかなかドロップしない。
「チンギス飯のやつらには感謝だな。こんな穴場を」
「だが、それでこちらは情報料として報酬の1割が消えるんだ。妨害なく持ち帰れば勝てる“王国”の勝利で決するんだろうが...少し嫌な予感がするんだ」
フラグを立てるなって仲間から飛び出したけど。
国連軍を粉砕した5機のフレームは、MPK『チンギス飯』の遊撃に強襲されて沈んだ。
これが弱肉強食ってことだ。