- C 1141話 国連軍と大規模戦闘 1 -
橋頭保には国連軍の2割。
合衆国の作戦群司令などを主とする、本部大隊が残り。
普段からは何かと正反対な意見を滑り込ませてくる、北方の狐たちも。
特殊部隊頼みだったけども。
新経済圏のわたしたちは、わざとコイントスで貧乏くじを拾ってた。
「――なんでって聞いていい?」
陸上戦艦があるわけじゃないけど。
合衆国と交渉して、水陸両用の装甲車を購入した。
2両もゲットできた。
「天ちゃんも案外、欲しがり屋なのかな?」
蒼の膝の上で頭をなでて貰ってなければ、な。
その問いは素直に答えてやってたと思うよ。
「いあ、疑問だよ。こんな得体のしれない島の調査なんだから、もっと強力な戦力でかつ固まって行動した方が」
「肉の壁が出来て、ボクらはもう少しだけ安全って?」
皮肉過ぎる。
そんなに拗ねた考えじゃない。
「そうだね。行間を読んだ限り、航空隊のヘッドマウント・ディスプレイが撮影してたフィールド上に、“アヴァロン”でしか無いであろう“鉄道の痕跡”が写ってた事と。少し遠かったけど旧市街地跡のような建物群が見えたんだよ」
決め手としては弱いかもしれないけど、十分にも聞こえる。
「それでも」
「数の優位性を捨てる理由には、」
ならないでしょ。
◇
すでに装甲車は走り出している。
タイヤ1個分の重量は百キログラム相当に達し、対人地雷を踏み抜いてもびくともしない、鉄壁の箱。
ただし、最後尾のタイヤで踏むとスクリューが死ぬ。
スクリューが死んだらオールで、手漕ぎが待っているので。
出来うることなら地雷原は避けるべきだ。
「――単純に、大所帯のデメリットは狙われ易いんだよ」
PvPvEの花形は、弾幕雪合戦の中で粋にキルを積み重ねていくことにある。
だが、戦略上は違って。
これは両軍の指揮官が考える最良の晴れ舞台なんだけど。
司令部を早急に仕留めて、戦術物資と指揮系統を乱すための行為が花形なのだ。
成功すればMVP。
失敗すれば何事もなく忘れられていく行為。
マルは肩を竦めて、
「あのまま海岸線の拙い砦に閉じこもるよりも...」
で、無線に耳を傾けてた。
なんか雑音の中に悲鳴のようなものが聞こえたって、ホラーなような事を言う。
「いや、ほんとうに」
「... ...」
確かに耳を澄ませたら、短く途切れがちの雑音が。
こうマイクを握って、放すような。
「戻って確かめる?!」
「いや、このまま“灰色の尖塔”へ行こう! ただ、この当たりの“尖塔”が狩場、採集スポットの地であるかは断言できないけども。ボクのチートスキル・マイスターで、この装甲車を改造しちゃえば生存率が上がると思うんだ!!」
マルの自身はそこからか。
ただ、そろそろ蒼から離れてくれてもいいんだが。
「じゃ、そのたわわ、埋もれてもいい?」
っ、どういう交換だよ。