- C 1134話 そこは紛争地帯でした 4 -
マルの言う紛争地。
隊長機というボットには特殊なギミックでもあるのか、と。
そう思ったものだけど。
「はい休憩! いったん皆、ログアウトするよ~」
ボット隊が作った野営地に。
半分砂の中に埋もれるように設営された天幕へ。
各々、潜り込んでいくリーパーズ。
人工島の地下施設では、
コクーンのロックが解除されて、水浸しの茄子みたいな人が這い出てきたところだ。
マルは...
「うーん、おしっこぉ」
ほう、おしっこか。
てか言い方!!
トイレと言え、いやさ、厠でもいい。
いや、いいや、いやいや。
拗ねてた時、なぜかすっきりした表情して帰ってきてたことねえか?!
あれも厠、うううん!!
「ちょ、マル」
「う? 漏れそうなんだけど」
漏れるなら漏らしてみろ、それが本当に厠なら。
わたしでも怖いことを言葉にした気がする。
マルのどん引いた、青ざめた表情が今も、わたしを苦しめてる。
これが結果で。
マルは17にもなって漏らした子になる、いあ、なった。
マジでごめん。
しくしく、萎れた茄子みたいな小さい子が泣いている。
優しく介抱する蒼の天使なさま。
「天しゃんは酷い子だよねえ」
ああ、そうだな。
ちょ、棒読み。
「見た目は幼女だけど、心は乙女なマルちゃんに放尿プレイなんて」
言い方。
てか、そんな変態ちっくなプレイは求めてないって。
確かめようとしたんだよ。
こう。
本当にトイレかどうか。
「言ったよ、おしっこだって。ボク、ちゃんと言ったのに」
「ああ、いいのいいの。また悲しくなるから、それはいいの」
蒼はちゃんと分かってますよ~
懐かせるなら、一度壊してしまえばいい。
何だったかな。
そんなテイム法があったような気がする。
◇
トイレタイムから戻った、隊員たちの「?」。
「竜種の撃退後、合衆国の主導により――」
ティラノの解体ショーが始まった。
解体師として選抜されたのは、わたしらの本国、レンジャー部隊。
何しに来たんだよ!!
見事な捌き具合よ。
「素材はゲーム内と同じように、皮と肉、骨が採取できたけど。内臓の類は不思議と、採取されずに消えていたようだね。ドロップアイテムとして... ボディパーツって名で各部位が採取できる昔のゲームもあったようだけど、モザイク修正が入るようなもんは(軽く息継ぎしながら)無いっぽい」
マルのアホ毛がぴょんと跳ねて。
蒼の腕の中に納まる。
お、おう。
蒼、わたしのパートナーなんだが。
「――ここで一つ、疑問!」
わたしは、マルに問う。
彼女のトイレは本物だったのだろうけど、覚醒前のアレも気になる。
「MPKの連中には、こっちはどう見えてたんだろうって事なんだけど」
腕をぶんぶん、千切れんばかりに振ってた。
アレはこちらが見えてたと確定の行為だ。
ともすれば。
「プレイヤーだと認識してたと、思う」