- C 1129話 そこは幻の島、アヴァロン 4 -
7個の分隊を収容するために、陸上戦艦の手配までした。
これが傭兵団・リーパーズの行動力と褒めたいところだけども。
八ッ橋エリザこと、エサ尉官。
この子がアバターを着ると、普段の明晰さが消し飛ぶのは何故だろう。
仮にも、いやマジで仮にも。
マルの代理でコマンダーを拝命してた子だ。
ポンコツで言い訳が無い。
「え? お昼、トンコツなの!!?」
言ってない、言ってない。
ハナさんが真剣に対応してて。
ウナさんに眩暈が。
膝から崩れ落ち、
「いったん代理をハナちゃんに仕切り直させよう、隊員」
異議なし。
◇
リアルに見えるフィールドに穀倉地帯は入ってないけど。
彼らの探索は、ゲームサイドからリアリティを見つけることにある。
何回も戦場に潜る必要があるし。
陸上戦艦は傭兵団の拠点でもある。
もっとも。
リアルに浮かぶ島から、この戦艦を目撃できたとしたら事態は、もっとややこしくなるんだろう。
だって、ゲームと現実が繋がるなんて。
どんな技術でも無理だろって話。
そしたら――
いよいよ集団催眠かもとか、オカルトの部類になるかも。
「サバイバル、開拓目的だとマップはシームレスなオープンフィールドに解放されるようだけど。難易度は格段に跳ね上がる...(指揮代理になったハナさんが仕切り始める。淡々と状況の報告と共有中で)幸い、陸上戦艦にはレアリティはあっても、レベルなどの成長性はないので。現状、最高ティア帯のものであればヘルスとアーマーで後れを取られることはないと思っていい」
これは。
野良のプレイヤーに絡まれても、ホームが陥落するリスクが小さい事を意味し。
ホームを盾に低レベルでも、高レベルの者と戦えるということだ。
まあ、あくまでも理論上は。
もっとも。
そういう試算が出来ても、真似するプレイヤーは今のところ。
本格的にいない。
廃プレイヤーや、重課金プレイヤーでも。
連隊規模で所有し、10人以上のプレイヤーで起動、操作する陸上戦艦にリアルマネーをぶち込む猛者が居なかったってはなしで。メリットが動く要塞くらいしかないは、メリットとは言えないだろう。
最高ティア帯は、取得数十万、維持費数万円というのだから豪気。
いあ。
もう頭イカれてるレベルに思える。
これは、わたしの感想で。
マルに伝える気はない。
「――とりあえずは、フィールドの測量とかに戦力を当てることかな」
目撃情報が転々としている。
これは先の解説にあった。
実際にゲーム内で生成されたシーンなのか確認する必要があし、海岸線をぐるりと巡る旅に。
上手くすれば。
いや。
そうあっては成らないけど。
わたしたちと合流できるかもしれない可能性も。
「懸念がある!」
ウナさんの挙手。
「なにか?」
「交戦規定だよ。明確にしておかないか? 戦場はPvPvEなのだろ」
サバイバル中でも唐突に巻き込まれることがある。
すでにチュートリアルで一戦交えてしまってた。
陸上戦艦の性能で窮地を脱したけど。
「あ、うん。PKの彼らが報復に出る可能性はゼロではないね」
そう。
初心者狩りに会って、撃退して戦線を一方的に脱出した。
PK側の方はリスポーンする前に。
たぶんエリアが喪失したんで、ドロップアイテム化した自身の装備品がフィールドに放置されたはずで。
回収も殆どできなかったと思われる。
局所的な交戦エリアが閉じられると。
最後にログを取った地点まで戻ることになるからだ。
「じゃ、そこんとこも話し合おう!」