- C 1128話 そこは幻の島、アヴァロン 3 -
エリザさんと、華さんに宇奈さん。
他多数の傭兵のみなさん――こちらもスリーマンセルで、1分隊。7個で小隊を形成していた。
他の投入する斥候部隊の数からすると、やや多めだが。
ゲーム内としては、やや少ない。
スリーマンセルで1分隊はルール上の、1パーティ構成数。
11個の分隊までを同日の同じ戦場に送り込む事ができる『連隊』システムがあって。
いわゆる、申し合わせ参戦。
従来のタイプだと、こうしたシステムはグレーゾーンだった。
ま、理由は簡単だ。
プレイヤーが意図的にゲームバランスも、パワーバランスも壊しに来ないと思っているから。
性善説みたいなものだろう。
キルデスや、勝敗にランキングと、様々な形で個人の承認欲求を満たせるのであれば。
人は邪に染まるものである。
じゃあ、システムで認めてしまおうって事になった。
◇
公式がルールとして認めてしまうと。
まあ、ソロ参戦の閾値が格段に跳ね上がる――20人とか、30人の暴力に一人で立ち向かうのだから、新人潰しとはよく言ったものだと思う。
そこで。
マッチングシステムのフィルタリングに、“連隊”は“連隊”と合致させる。
分隊が合従しているのがシステム上“連隊”と規定されるので、仮に分隊に分かれて申し合わせ参戦に参加しようと画策すると、強力なAIによってテキトーな戦場へ放り込まれるようで。
それまでの優位性1:3か、1:30かの数の暴力が効かせられないよう働いてた。
運営のAIは『運命の三女神』と呼んでいたようだ。
運命か。
リーパーズの『連隊』が送り込まれたのは、牧歌的なエリアだ。
穀倉地帯が広がってて、ストーリー上。
この穀倉地帯の所有権は開拓民たちのものと自称している形になる。
ああ、そうだった。
アヴァロン・クエストでの物語背景だけども。
かつて、大航海時代が始まる少し前の頃だ――北極海に未確認の島があって、すぐに消えてのだけど。
再び現れた時、漂着した人間は『北極熊』と思しき獣人に助けられて... 島の存在をはっきりと知覚することになったという。
これが、今日に至る。
ラスト・フロンティア計画と結びつく。
助かった人間は島への上陸方法を書き残す。
ゲームの中の説明が、合衆国に通じるわけもなく。
認められた門を潜ると、
約束された最後の楽園へと誘われるのだというんだけど。
この島には獣人以外の者が跋扈している。
獣人も恐れる“竜種”と“強化外骨格”を身に着けた、魔人と呼ばれる亜人。
冒険者ことローバーとなった、プレイヤーは。
時に人類に敵対したり。
時に人類を導くものになったり。
時に島を拓く者になる。
そのために障害と話し合うのではなく、
武力で押し通してきたのがここ、300年という年月。
未だ島の4分の1しか征服できていない。
「さて、ボクらは...アレ? 何するんだっけ???」
エサ子と愛称で呼ばれ、可愛がられているマスコット的小動物は。
早速、目的を見失ったようだ。