- C 1124話 霧の向こうで 3 -
サバイバルシューティング・オンラインとしての。
“霧の向こう”アヴァロン・クエスト――どんなゲームかは、先述したけど。
仮想と現実の境界が曖昧になってるかもしれない。
との検証のために、わたしらはマルたちの仕事に関わることになった。
今のところはバイトである。
ゲームからのアプローチは。
エリザさんと、ハナさん。
ついでに宇奈さんも同行すると言い出した。
暇かな?
◇
「誰? 今、よからぬ事を言ったの???」
困惑する、エリザさんとハナさん。
宇奈さんが鋭い目つきでキョロキョロしてて。
埒もあかないので。
「ゲームアプローチ組のアドバイザー兼、コマンダーとして」
ハナさんが紹介したのが。
マルの叔母さんという女性――司馬 十恵。
三十路の、姪っ子に『お姉ちゃんと』と呼ばせている魔女である。
何歳になっても美しくありたいというのは。
永遠のテーマだけど。
こどもに言わせちゃだめだと思うんだよね。
ま、他人さまの家の事なんで、これ以上は野暮か。
「じゃ、今回のプレイは調査目的だけど、テキトーにキャラメイキングはしないように」
んー。
なんだろうねえ、この真に迫った説得力があるような、無いような圧は。
「十恵さん」
「はい、華ちゃん。今なら簡単な説明くらいは出来るよ」
マルの散財の原因というのを、文化祭の折。
一緒に見に行ったふたりの目がマジに怖い。
交差するたびに火花が散ったように見えて。
「テキトーに作ったんですか?」
「いえ」
「テキトーにですか?」
「いえいえ」
「私はこれでも凝り性ですけど、そんな私を前にしても... テキトーに作りましたか?」
「はて、何のことやら」
この応酬は何処まで続くのかと思った頃。
エリザさんはキャラメイキングへと進んでた――ちょっと値が張るものがあるけど、全身スキャンを活用すると、メイキングの時点で“自分自身”をアバターとして登録することが出来る。そのうえ、外部の端末やストレージなども用意すると。
普段、利用しているキャラだって使えるのが、これの面白いところだ。
エリザさんは兼ねてより登録させてた。
ちんちくりんな幼女のような四肢の少女アバターで登録。
目線や、身体のふくよかさの違いなどもあって。
普通ならば使い難いであろう身体なのに。
着慣れた服のようなしっくりさに大変満足そうに見えた。
「マルの時もそうだったけど、この子は手も早いのね?」
十恵さんの嫌み?
ま、気にせず。
「エリザお嬢様のように、他からアバターをコンバートすることが出来る。ただし、いくつかのボーナスはすべてスキル取得優先に回した方が、この先の成長時に身をもって痛感するはずだから」
うん。
これ何度か失敗しているクチだ。