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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
幻の島、アヴァロン
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- C 1123話 霧の向こうで 2 -

 マルの指導の下、

 あおいは、上陸作戦に向けての訓練に参加することに。

 いあ...

 実のところ、このキャンプには、わたしも同行している。

「戦場では何があるか分からない! 先ずはバディと共に息の合った生活のリズムを掴むように!!」

 言ってることは正しいのだろう。

 だが、だがだよ。

 上下、撚れた茜色のジャージ姿に、ボサボサの頭、気怠そうな趣のサンダル娘には。

 なんちゅうか、言われたくない。


 おまえが、しゃんとしろ!!


 これは訓練に参加している、すべての戦闘員総意である。

 たまらず、

 みゅーって鳴いた、マル。

「天ちゃん、悪い子。腕立て伏せ~」

 えーなんでわたし()()?!

「嫌だよ!」

 蒼が袖を引いて、

「これマルちゃんなりの地獄の特訓だよ」

 そんな訳はない。

 これただの気分だろ。

 いや、まず。

 それ地獄の特訓とかでもないだろ!! 蒼は毒され過ぎだ。



 人工島の中に演習場とかはない、スペース的にだ。

 じゃあどこで? ってなるのが普通だけど。


 これは人工島・自衛隊でも同じ条件で。

 そういう時に科学者はこう言った『仮想空間があるじゃないですか!』と。

 フルダイブ型VRによる本格的な実戦訓練。

 死ぬほど痛い経験も、死ぬほど苦しい経験も、みんな一切合切仕込まれた特別訓練カリキュラム

 マルが特別用意したプログラムじゃなくて。

 傭兵団リーパーズの最終採用試験で使用されたもん。

 マル自身、これのカリキュラムを受けて小隊長になったという。


 マジか。

「おお、いい反応だね」

 VRの向こう側に居るマルは相変わらずにチビだが、なんていうか貫禄?

 いあ、雰囲気が違う。

 こう歴戦の~とか、そんな言葉が板につく雰囲気のだ。

「やだなあ、じろじろ見て」


「そりゃ、ボスが()()()()してるかでしょ?」

 小隊員らが口々にした言葉“しゃんとしてる”。

 そうだ、それ。

「こんな空間だけど、痛覚はちゃんとあるからね。しゃんとしない方が不味いでしょ、指揮官として或いは...教官としても、他人ひとを導かないといけないんだから」

 マルらしからぬセリフだよ、それは。

「痛覚があるとは?」

 蒼が問うた。

 ああそうだ、痛覚があるってのは。

「言葉通りなんだよね。ナイフの先で指を刺してみて、切ってみてもいい。今の状況は、スタート地点だから傷は残らないけど、傷みは数倍薄めてあるけど感覚として記憶できるはずだから」

 言われても切りつけられないのは人間といえ。

 そこを躊躇なくしちゃうのは、蒼の凄さか、或いはわたしよりも死に頓着か。

「いたた...」


「ね、ちょっとひっかかれたくらいのチクリ感あるでしょ? 刃物はさ、紙とかと違ってスッと切れるものは少ないんだよね。特に軍用のは切り口が鈍いんだ」

 何でって、わたしが口にしてた。

 天使によって消してもらった手首の傷は深いのもあったけど、わりとサクッと入った気がした。

「切り口の断面がキレイなら、切れた両サイドをふたたび重ねわせればくっつくじゃん?! それじゃあ傷つけた意味がない。ボクらは傷口が治しやすいよう熟達な料理人じゃないんだよ」

 刺身だって、ギザギザのカットにする。

 醤油が絡みやすくする為だが。

「で、ここで痛覚があるのは実戦で死なない為に必要だからだ!!」

 小隊員らはしっかりと頷いてた。

 ちょっと覚悟が足りなかったのは、どうも...

 わたし達だったっぽい。

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