- C 1118話 天啓がありまして 3 -
普段、学校があるときの毎日は蒼が早起きしている。
溜まった洗濯物の処理をして、
処理を、、、、して?
何をしてるかなんて考えたくもないけど。
朝、一番に起きて何かしてくれてることは確かで――
キメ打ちしたあと。
洗濯物を皴まで伸ばして、竿に干す。
とりま、これを終えたら朝食へと移行するから。
年中無休に赤道直下の人工島。
本日も壱日、よく晴ますように...。
◇
人工島・地下闘技場。
蒼の家の人たちが日々通う職場となって。
ひと月くらいは経過している。
わたしとの生活もだいぶ慣れたものだよ。
学校のない休日の日となれば。
メイドばりの働き者から怠惰なお嬢様へと一転する。
うん、実にメリハリがいい。
「蒼は未だねむたいのれす」
彼女は、わたしの背に潜り込むと、サバ折よろしく腕が腹を....
圧迫、圧迫。
いたたたたたたた...
「ぐはっ」
天国が見えそうになったね。
天使が扉の前に来て、
『なんです? そのアホ面、こっちに来てもかつての脂ぎったキューピッドのおじさんしか案内人に付きませんから。もっと徳を積んでから、きてくだしゃ!!』
お、天使なのに“徳”いうかね?
『宗教に関係なく、人間の悪行、善行はひとえに“徳”という基軸通貨で処理可能なんですよ。なので皆さん...ああ、知っている人たちは、みな、“徳”を積んでこちらに来れるよう日々努力されているんです。ま、たまに教皇選出されて「さあ、これから!!」って時に投げ出してしまう奇特な人もあるんで天使候補が剝奪されることなんて多くてねえ』
いつになく天使のトーンが低め。
目を付けた相手が脱落するのは、天使の成績に関わるという。
『ま、わたしも父親の七光りなんて言われてますし』
ああ、神さまか。
『いえ、まんまパパです。大天使にして天使すべてを率いる熾天使にして神以外の頂点! うーん、そういうとパパが恥ずかしがるんで食卓を囲む団欒の場では持て囃したりしないんですけど、まあ。そういう事なんで、目を付けられるとはい! 困るんで、天心さんには沢山の“徳”、積んでから来てくださいね』
で、追い出されたんだ。
話の半分も入ってこなかったけども。
神学科に席を置くわたしでも、天使の中の天使は知っている。
これは宗教の枠を飛び越えた至高の存在。
天界にはすべて神さまっていう世界にも、主神の傍、右席の者は不動だ。
で、だ。
その席には必ず兄弟枠があって、
兄か弟かは逆転もしているけど。
おいおい。
わたしの守護天使、こんな終幕で正体がソコですか。
「どうしたの? 天心しゃん???」
おっと。
わたしをあの世の手前まで送った子が目覚めたよ。
でもまあ。
このかけがえのない日々をこんな夢うつつなコトで壊す必要もない、わけで。
「いや、何もない」
「そっか」
気怠そうな微笑みが、蒼の顔に灯る。
肩をちょんちょん突かれた感じがして――
『天啓ですよ!!』
今度は、天使から?