- C 1117話 天啓がありまして 2 -
天使が報告を終えたのち、
大天使から主命が下った――『二葉天心と伴侶、蒼を天使見習いにスカウトせよ』と。
えっと、いつの時点からです、其れ?
『ぶっちゃけると、天寿を全うしたら、ですね』
先が長い。
そう感じれるのは、いい兆候だと天使が告げた。
「ふん、えぴろーぐみたいだよ」
『でも、未だですよ?』
そんな感じで天使と会話を楽しんでると。
買い直した新しいダイニングテーブルに色取り取りの朝食が並べられていく。
そうだ、忘れてたよ。
昔、メイド長もこんな感じに盛ってたね。
黒く焦げたトースト5枚に、沸騰している地獄のようなコーンスープ。
豪快に盛りつけられた葉物野菜か、或いは雑草か。
それを彼女は――「新鮮、獲れたてです」と言った。
その人、普通に主婦出来てるんだろうか。
蒼が配膳したソレだけど。
丁寧に冷水で濯ぎ、瑞々しさが残るレタスの群れ。
なんていうか...
彼らが心なしか微笑んでるようにも見えるのが不思議。
『それ、ヤバい目の病気かもしれません、眼科に行ってください』
天使は煩いなあ。
キレイなで、言うと。
目玉焼きとベーコンが乗った皿に盛りつけられたホウレンソウとブロッコリーか。
青緑の豊かな自然に包まれてるよう。
「蒼は編入し直して、天心しゃんの居る“神学科”に入ることになったよ」
ほほ~
神学科の卒業コースには2通りしかないよ。
神殿騎士団への道か、宗教家になる道だね。
前者は、実のところわたしも何をして生計を立ててるのか分からないけど。
後者は、関連施設とかその他の(今世まで生き残っている)宗教学校や大学へ入る人々で大きく道が分かれてた。寄宿学校寄りになるだろうけども、普通に経営学科とか、経済学部とかまあ資金面で怪しい家庭の人には少し、敷居が低いのがいいところだろうか。
「蒼はもっと勉強したいのか、えらいね」
卓を挟んで、対岸の少女は首を振った。
ん?
「ちがうの?」
「違いませんが、違いますね」
神学科の進学コースの敷居は低い。
一応、色物ではあるけど、マーカス王立魔法学院の一般的な学力ステータスは非常に高い。
ここから国内の有数な高等学府を目指すこともできるし、本国の政治家や官僚にエリート商社、銀行、あとなんだろうなあ~ 複合総合企業の幹部候補生だって狙えるかもしれない目安、は軽く凌駕しているのだ。
だから、臨みさえすれば。
「蒼は、天心しゃんと一緒に居ろという天啓を自分の内側から受けていますので、ずっと一緒にいるつもりなんです!! こころしゃんの匂いも味も大好きですから!!!!」
は、はい、夢の回収が来ましたよ。
ここか。
ここに繋がるのか。
れいのごとく。
蒼は「ぽか~ん」としている。
もう感じなことになると、勝手にスイッチを切るんだから。
なかなかの策士だけどな。
自分の内側から、天啓はこないんだよ!!!