表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
天啓がありまして
2262/2367

- C 1116話 天啓がありまして 1 -

 朝、ビビッと電気が走った。


 と、同時に急に胸が苦しくなって――ああ、ついにお迎えが来たかなって思った。

 なんてことはない。

 あたしの谷間に頭部がある。

 これは、くんくん。

 匂いからしてあおいのだ。

 彼女からは、

天心こころしゃんの、汗の匂いしゅきぃ~」

 だったか?!




 慌てたね。

 慌てたよ。

 あ、汗の匂い、えー!?


 これがなかなか離れてくれないんだよ。

 無意識に寝てる人間ひとの所業じゃない。

 がっちり背中まで腕を伸ばして、ホールドした状態でだ。

 ()()()の間に顔を埋めてるんだから。


 あ、今、舐められた気がする。

「えへへ... あおい天心こころしゃんの()もしゅきでしゅ」

 目が、

 目が、

 目がー!!!



 ――悪い夢を見た。


 わたしの部屋に引っ越してきた蒼の朝は早い。

 仲が認められて2週間足らずで、彼女が引っ越してきたのだ。

 それこそ。

「聞いてくださいよ! 天心こころしゃん!!」

 いつの間にか、()()が砕けて溶けてた。

あおいにも天使が付きました!!!」

 見せてくれたのは、

『それ、悪魔ですよ?』

 だ。


 色欲の堕天使。

 天使に違いないけど、キューピッドが闇落ちしたヤツ。

 わたしの巫女としての能力と、付いてる天使の御威光ってヤツだな。

 これで払い清い給えて、憑き物落としでキレイにしてやった。

「うわっ!! おっぱい大きくもない蒼の肩がきゅーにすっと、軽くなりました!!」

 ま、そうだろうねえ。


「――で、そうです。啓示をうけたのです」

 ほー。

 信じてないですねーで、あおいが頬を膨らませて。

 妙に可愛い姿も見せるようになって。

「しばらくしたら、引っ越してきます」

 が、あの騒がしい日から2週間後のこと。

 例の紳士な御当主様が、手配した形で宗家の部屋から引き払うことが出来て。

 いったん実家に戻ってから、ここに来た。




「もうすぐ、朝ごはんデキますからねえ~」

 キッチンに立っているあおいのこえ。

 締め切ってた雨戸がすっかり全開で。

 眩しい陽光を和らげるよう、レース風のカーテンが風に揺れてる――ちょ、何、これ天国?!

『天国の閾値、天心こころさんに掛かると随分、低くなりませんか?』

 久しぶりの天使だ。

 前向きに生きることに向けた、例のプログラムの最終報告へ行ってたとかだったが。

『蒼さんの手料理ですね?』


「なんだしんみりして? これエピローグじゃないよ」

 まだなって、わたしは天使に告げる。

『まあ、遠いとも言えませんよね?』

 言うなあ。

「わたしはリストカッターなの、いつ何処で絶望してしまうか分からないんだぞ?」

 蒼を悲しませたくはないけど。

 わたしも悪魔に憑かれる時はあるって話だ。

『そうですね、まあその話は... 蒼さんの味噌汁を頂いた後でも――』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ