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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
天啓がありまして
2259/2367

- C 1113話 唐突ですが、3 -

「えっと...」

 わたしは、ふたりの言い合いの中に割り込むように入り。

 蒼の手を恋人つなぎに取って。

「唐突ですが、蒼さんと正式なお付き合いを...お願いします」

 こらこら、わたし。

 火に油を注ぐという諺がだね。

 でも、まあ。

 嘘なんて一言も言ってない。



 少し前に。

 蒼から告白コクられてて、その返事を返していなかったので。

 この場を借りて。

「ふしゅ~」

 言葉にならない擬音めいた音色で、蒼が溶けた。

 うわ~あああああ!!!

 蒼が溶けたー!!!



 さて一発触発って雰囲気なところに、陸華堂ろっかどうの嫡流家()御当主様が嫡子とその、三男さんまで連れて、そう。わたしたちの膝突き合わせてたレクリエーション・ルームにご登場してくれた。

 普段見ない御当主さま。

 蒼のような神童でさえ、奥の書院に入ることは許されないから。

 こんなダンディな紳士に触れたことが無い。

「あ、筆が」

 おっと蒼の悪い癖が。

 これはBLネタに目覚めた予感。

「みなさん、ごきげんよう」

 柔らかく甘い調子で場の空気が和んだ。

 武門の棟梁というイメージからはだいぶかけ離れ。

 そう、狂言師とか日本舞踊の先生のような、艶のある立ち姿――和装の似合う小さな腰。

『ああ、これはエロいですねえ』

 久しぶりの天使。

 お、こら鼻の下、伸びきってるって。

「おいでくださいまして、誠にありがとうございます!! 御当主さま」

 海賊ねこの着ぐるみが謝辞。

 直角に曲がった礼を尽くしてて、その甘い声主はコロコロと笑ってた。

 おいおい。

 なんだよ、この、この、この...

 天国かよ!?

『いいですね、この当主ひと、天国に連れ帰りたいです!!』

 天使まで物騒だよ。

 わたしの感想にかぶせるなよ。


「んんん? なんだろ、今、殺されそうになった?」

 首のあたりに指を這わせて。

景親かげちか!! 何故、ここに」

 長老さまの驚きようを、忘れてた。

 席ごと、仰け反り、立ち上がりかけて膝くだけになった感覚。

 頬が朱に染まったかと思えば、溶けかかって。

 今、ぷんすこしてるトコ。

「ああ、かあさん。その様子だと、蒼ちゃんの進学とか...(優しく微笑み)聞いた? お友達と同じトコに行くらしいんでね、私は応援したいと思ってるんだけど?」

 小首を傾げかけて。

 和装の襟口を直している。

「おやおや?」

 連れてきた息子たちに当主の視線が落ちた。

「なんか雰囲気、違くないかい?」


「いえ、父上の勘違いなど」

 長老が溜まらず割り込み、

「蒼の友が誰だか知ってるんかい、お前は?!!」

 美魔女の吐いた飛沫が当主へ。

 ああ、なんてこと。

 オーラがその雫さえも跳ね除けて――

「うん(満面の笑顔)片葉の娘だろ? 私は彼女が5つだった頃に会っているからね。よーく知っているよ、ヤらされてるとはいえ立派な巫女さんだったねえ」

 天使降ろしが得意で。

 脂ぎった感じの中途に半端ハゲたおっさんキューピッドを侍らせていた。

 いや、記憶にないけど。

 そういう印象だったらしい。

「お、おま、え?!」

 長老さまの勢いが急にトーンダウン。

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