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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
天啓がありまして
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- C 1109話 長老どもの賭けのタネ 4 -

 とうとつにだが...

 格闘ゲームには、ハメ技というものがある。

 技の難易度から見ると、それは初級の小攻撃、与ダメも弱と体力ゲージが1ミリも削れると『ラッキー』なんて声が出そうな単発のもの。しかし、地味なモーションの中に隠れた良さがあって、まず第一に“弱攻撃”にはコンボ、連続技へスムーズに移れるようノーモーションであることが見受けられる。

 構えナシの“西派”のような。

 動きに一切の無駄がなく、流れる清流のような所作。


 大技や必殺技には大ダメージに至る専用のモーションと、アニメーションに、溜めが必要になる。

 これは陸華堂兵法でも同じだ。

 ただの正拳突きでさえ、打ち終えた残心の美しさで――

 技の完成度が違うという。



 トリッキーなハメ技も突然に。

「ローキック!!」

 あー。

 ストーンゴーレムは技名をわざと口走る。

 ちょっとイラっとくる。


 姿勢を低くした足払いなんだけど。

 こう、ふわっと足元を掬われたような不安定さがある。

 おっととと、と――後ずさりながら着地しようと踵から踏みに行ったら――「ローキック!!」

 まただ。

 狙ってたように掬われて。

 とことこ、と。

 どんどん中心から壁に向かって後ずさる。




 外野が煩い。

 分かってるんだよ、分かってる。

 このまま後ろに下がることは出来ない。

 半円ドームだってそんなに大きな施設じゃないし、そもそも、ゴーレムのは単なる足払いなのだ。

 だが、足元。

 特に着地するか否かの極めて不安定な状態から、再び掬われるのだ。

 尻もちをつけば動きが止まるけど。

 顔側面に回し蹴りでも貰えば失神は免れないし。

 かといって予想以上の大きく後ろに仰け反った場合の着地後、利き足は靭帯が怖いことになりそうだ。

 最悪歩けなくなるかも。

『抜け出さぬか、愚か者が!!』

 それでも陸華堂の技を修めた者か、だって。

 宗家代理のババ様の声がよく通ると思ったら、スピーカー越し出しだった件。

「ぬ、抜け出せてたら...くっ」


「うん抜け出せないよね。踵から掬われてるから前に向かって飛ぶなんて芸当も難しい...それこそ、空気でも蹴るようなトリッキーな動きが出来ないといけない。えっと、これは...“東派”が得意とする空中戦だったかな?」

 いちいちイライラさせることを言う。

 蒼はどの流派も見たことが無い。

 言われてもピンとこない。


 ストーンゴーレムは足払いを掛けた後に、低い姿勢のまま瞬歩がごとく距離を詰めて。

 蒼の谷間やや下へ衝打を打ち込んでた。

 衝撃は薄い身体を突き抜けて、彼女の背中にモミジが残ってた。

 下着姿なので背後に回るとよくよく腫れて見える。

「ぐはっ」

 あおいーっ!!って声がババアから出た。

 あれは当代随一の後継者に向けたものか、或いは...。

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