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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
天啓がありまして
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- C 1103話 蒼がしたいこと 3 -

 蒼にもやりたいことは、いっぱい、いっぱーいある。

 先ずはいっときこそ断念させられた青春を謳歌するという、学校生活。

 今のところはそれ以上の収穫を得て。

 わたしと蒼はラブラブに発展中である――もっとも、ホテルまで行ったら、だ。

 裸婦画のモデルにされて。

 ま、その、発展めいたものはない。


 少し残念ではあるが。

 それもふたりの呪縛が解かれたら、エリザさんの口利きで島の南区に小さなコテージを探してもらう手筈が整っている。平屋の2LDKで、砂浜が見えて遊泳禁止の海がある生活に夢想する日々。

 それまでの合言葉ふだが『一緒に棲もうね!』だ。

 ちょっと気恥ずかしいけども。


 今のところは、その細やかな生活こそ、わたしたちの――

 いあ、蒼のやりたいことの最上位レベルといったところか。

 とはいえ。

 宗家こと陸華堂の家に邪魔されなければ、の話なのだ。



 宗家滞在4日目。

 実戦向けの施設が『使用中』になっているという珍事に遭遇した。

 半円ドームの搬入口に、例の半年先に生まれたから“兄貴”だと、自称する嫡流家三男があった。

 やや不満そうに腕を組み。

 斜に構えた立ち姿で、じっと室内のスパーリングに見入ってた。

「どったの?」

 蒼の気配には数百メートル先から気が付いてたけど。

 ドーム内の事案の方が気になってた。

「プロゲーマーって知ってるか?」

 何を唐突に。

 蒼が傾げてる。

 プロゲーマーっても個人名称じゃないから、吐いて捨てるほどある。

 こんなご時世だ。

 野球選手や、フットボール選手に並ぶ人気の職業で、小遣いを稼ぐのが目的なら、分母はもっと多くなる。

 てかキリがない。

「ストーンゴーレムの着ぐるみを着たふざけた()()が、朝からメディックボット相手にスパーリングしているんだよ。軍用のと比較すれば、精緻に人に近く作られててシリコンベースの肌感覚や、滑らかな関節可動域なんて、人間と大差ないってのに」

 何言ってんだと、蒼は思った。

 ストーンゴーレムの着ぐるみを着てたゲーマーと言えば、例のダンジョンで出会った。

 いけ好かないことに。

 天心あたしを口説いてきた、マル・コメっていう覆面ゲーマー。

 かなり稼いでるって話だが。

「今、蒼モデル・プロトタイプに3勝している」

 耳を疑った。

 蒼の目がかっと開いて、兄貴を突き飛ばし、戸口に立つ。

 半年前にトレースさせたあおい自身が打撃戦で負けっぱなしだった。

 ゲーマーを招聘したのは、嫡流家の長男。

 彼の主催する格闘ゲームで知り合ったというので、武神だとつけ上がっている小娘の鼻っ柱を折る目的で迎えてた――おっと、スパーリングを見学してた長男と目が合った――「そんなトコで盗み見するとは、傍流の娘は礼儀も知らんと見える?!」

 あちゃー。

 今ので蒼に火が付いたかも。

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