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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
天啓がありまして
2246/2362

- C 1100話 わたしがしたいコト 5 -

『もぎゃあああああああああああああああああああああ』

 蒼の絶叫が平屋の巨大な敷地に建つ館中に響いたとこだ。

 世界や宇宙を体現する庭に、湖のような場所に浮かぶような神殿造りの変な家。

 道場はふたつあって――


 蒼らのようなタイプは高弟。

 印可を受けた子があっても、師匠と弟子の関係は変わらない。

 そんな蒼は半年に一度、これは約束のようなもので絶対ではないけども――実家?の陸華堂本家に顔を出す決まりがある。今となっては以前使ってた部屋が客室になってしまったので、彼女も食客のように離れの民宿みたいなトコに宿泊していた。

 そんな離れから響く声。



 周辺の警備や、騒音の類は気にしなくていい。

 何せ、何もない辺鄙なところに屋敷がある。

 高く聳える塀の上にはネズミ返しのような屋根があり、好奇心かあるいは盗みにでも入ろうとすれば。

 例の軍用モデルに仕上げたドローンボットがわらわらと集まってくる。

 これと対峙して無事で済むような犯罪者もそうはいないだろうし。


 あおいも門限が間に合わないと意を決して、塀を越えたら――5体にフルボッコにされた怖いエピソードを語ってくれた。蒼をして『あれは理不尽だ!!』というんだけども、門限が絶対なら守るほかはない。

 だって正門さえ超えれば襲ってこないのだから。

『そうは言っても、天心こころさんと初のデートでしたし。一緒に水着と、下着を選びに行ったじゃありませんか! その帰りにちょっとあおい()()じっくり見せてくれるっていうんでホテルに寄ったし、あれをなかったことになんかデキないじゃないですかー!!!!!』

 ファミリアの通信機能で、彼女は告げた。

 絶叫の後の細やかな言い訳。


 で。


 そう。

 で、それは起きた――襖を勢いよくこう、スパーンって。

 よく滑るよう蝋でも塗ったのかって具合に襖が開かれ、カウンターで勢いよく閉じたわけだが。

 これはコントですか、ああ、違いますよね。

「うあああ!! びっくりしたっ!!!」

 例の半年先生まれの自称兄がの悲鳴。

 開け開いたと思ったら、勢い余って自力で閉まってしまった。

 タネが分かれば大したことはない。

「今、凄いことが」


「知るかー!!!」

 てか、ノックも無しに開けるな。

 ファミリア越しにだけど、蒼の実家では愉快なイベントが発生りているようで。

『取り込み中なら』

 気を利かしてみたら、

『いやいや、今から自称・兄を殺すから待ってて』

 物騒な言葉を聞いたような気がした。



 わたしが願うことは。

 たぶんすごく贅沢なようで、細やかな希望なんだと思う。

 大好きな子と。

 一緒に棲みたいって、そんなとこだと思う。


 それが、今は... 蒼なんだと。

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