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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
天啓がありまして
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- C 1097話 わたしがしたいコト 2 -

「誰が、誰の“お兄ちゃん”だって?」


あおいの」

 両腕の痺れを抜くように。

 しきりに腕を振って。

「冗談、たかが半年ちがいで兄貴ヅラすんな! あおいから見たら()()()()()()だわ」


「何の?」


「コミック制作と、コミケの売り子さんの、だわ」

 それは余りに辛辣。



 まあ。

 五十歩ほど譲る気があるかは脇に置いといて。

 腫れた腕を診るのは、半年先に生まれた縁戚者の方。

 救急箱を傍らに置いて。

 あおいの腕に昔ながらの塗り薬に、油紙で封して包帯が巻かれる。

「やせ我慢しても何もいい事はないぞ?」

 口を尖らせる少女の姿は同い年だからよく見ている。

 見せてくれた彼女らしい光景の一つ。

長老ばばあだろ? 本土から“千本松原”を呼び寄せたのは」

 操作盤に戻ってボットのステータスに視線を向ける徒。

「ま、うん。一応は、こちらの方にも言い訳くらいはあるんだよ。(蒼は明らかに不機嫌そうに頬を膨らませてる)蒼の疑似人格ソウルは運用に耐えうる模範的な実戦データを吸い上げて、着実に成長しているんだけど」


「だけど?」

 後ろ髪をかき上げ、

 仰いでみたり、明後日を見たりしつつ、

「他のモデルと比較するに...」

 言葉に詰まる。

 蒼勇樹は偽名である――陸華堂ろっかどう家の末席に縁ある者。

 人工島では珍しい武門の家。

 陸華堂兵法というと、人工島ではかなり有名である。

 同家に7日間の集中合宿に参加すると、精悍な人間として別人になるという。

 ま、都市伝説だけど。

「蒼のは癖らしい癖が無いことが、()だって評価で」

 ふくれてた蒼が、食いつくように。

「誰の評価?」


「リーパーズからのだよ」

 あいつらかって、顔を覆ってる。

 スパーリング用ボットプログラムが今のところ、陸華堂の収入現になっていて。

 蒼は12歳で免許皆伝、相伝の極意まで到達した神童だった。

 武術の神様に愛されている。

 それが、長老にして宗家の口癖で。

 呪いのように縛ってきた言葉だ。

 拳ダコを隠して、ペンダコに置き換えた努力と、家から離れて自由に生きたいと考える。

 それがあおいの夢だ。

 目下試行錯誤中。



 わたしは、寝室に戻ってきて。

 賞品で貰った“体験型ファミリア”を起動した――部屋はいつか住みたいと思っている『海と砂浜が見える』細やかな平屋。キッチン、小さなリビングに、()()()では手狭な寝室と、ユニットバス。

 そんな夢のような部屋に、あおいがいた。

 やや、複雑そうな表情で。

 オブジェクトじゃなくて、本人で。

 彼女も何となく()()()()()を起動させたのだ。


 ふたりの理想的な家で、待ち合わせ。


「や、やあ」

 ちょっと気まずい。

 えっと、なんて言えば。

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